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テーマ:人口減(144)
カテゴリ:decade(s)企画
さて、これまで各地の都市における人口動態を見てくると、その傾向には以下のタイプが、あるように思われます。
(Aタイプ)県境を超えて影響力を有する中枢都市には、人口が増加する傾向がある。例)岡山市、広島市、福岡市、金沢市、宇都宮市。もちろん三大都市圏もこのカテゴリに入る。 (Bタイプ)Aタイプの影響下にない都市には、規模に関わらず、人口が増加、あるいは横ばいになる傾向がある。例)米子市、松山市、大分市、宮崎市、鹿児島市、松本市 (Cタイプ)ただし、Bタイプの例外あるいはBタイプの影響を受けているのか、人口が減少している都市もある。ヒンターランドの狭小さも人口減少の原因かもしれない。例)松江市、高知市 (Dタイプ)逆に、Aタイプの影響下にある都市は、規模が大きくとも人口が減少する傾向がある。ただし、このタイプには数年前まで人口が増加していたものも少なくない。例)鳥取市、徳島市、山口市、新潟市、甲府市、長野市、静岡市、浜松市、富山市、福井市、前橋市、高崎市…等々。このパターンの都市が、最も多いと思われる。 (Eタイプ)Dタイプと似ているが、基幹産業の斜陽化や自然災害リスクなど自身に人口減少の主要因を抱えている都市。重工業や水産業で栄えた都市が多い。例)呉市、下関市、北九州市、長崎市、佐世保市、静岡市(清水区)、沼津市、焼津市、日立市 (Fタイプ)ただし、Aタイプの影響下にあっても、特に首都圏周辺では、要因次第で人口が増加する都市もある。この中には、Eタイプの都市から人口が流入しているものも見られる。例)藤枝市、水戸市、つくば市、伊勢崎市、太田市 熊本市はAタイプとBタイプの中間、高松市や福山市はBタイプとDタイプの中間でしょうか。 これらのタイプを見比べて思うのは、我が地元、福島県の主要都市は、Aタイプに属する首都圏との関わりをどちらかと言えば重視したDタイプの方向性をとっていたのではなかろうか、ということ。ところが、特にここ15年ほどは同じAタイプでも仙台市の影響を受けるようになり、結果的に両都市に対してDタイプのポジションに収まっているのが現状と言えるでしょう。加えて、福島第一原発事故の影響で、Eタイプの性格も備えるに至っています。 結果、福島県の主要都市における本年3~8月の人口推移は、 ◎福島市 286,223人 ⇒ 284,270人 1,953人(0.7%)減 ◎郡山市 330,878人 ⇒ 328,278人 2,600人(0.8%)減 ◎いわき市 332,718人 ⇒ 330,421人 2,297人(0.7%)減 と、他地域の主要都市を凌駕する減少率となっています。 ちなみに、福島県以外の東北地方の主要都市における人口推移もみていくと、 ◎青森市 297,074人 ⇒ 295,957人 1,117人(0.4%)減 ◎弘前市 182,157人 ⇒ 181,241人 916人(0.5%)減 ◎八戸市 236,339人 ⇒ 235,609人 730人(0.3%)減 ◎盛岡市 299,675人 ⇒ 300,062人 387人(0.1%)増 ◎仙台市 1,053,817人 ⇒ 1,060,263人 6,446人(0.6%)増 ◎石巻市 149,886人 ⇒ 149,081人 805人(0.5%)減 ◎秋田市 322,136人 ⇒ 321,797人 339人(0.1%)減 ◎山形市 254,409人 ⇒ 254,275人 134人(0.1%)減 タイプ分類すると、仙台市がAタイプ、青森県内の各都市の減少ぶりを見る限りでは盛岡市もまたAタイプになるかもしれません。秋田市はCタイプとDタイプの中間か。山形市は仙台市に近いロケーションからDタイプに分類できそうですが、原発事故以降福島県からの避難者を多く受け入れている現状を考えると、Fタイプの性格もありそうです。津波被害が甚大だった石巻市は福島県の各都市と同様にDタイプとEタイプの双方を併せ持つと言えるでしょうか。 いずれにせよ、各都市とも人口が減少していても福島県ほどではなく、福島県は東北地方にとっても「お荷物」になっている一面は否めません。 そんな福島県にとって、人口減少を少しでも防ぐ手段… と言っても、AタイプやBタイプの都市を創出するのは、東京や宇都宮市、仙台市からの近さを考えると無理な注文と言わざるを得ません。可能性があるとすれば、Fタイプの都市の創出でしょうか。毛利元就の三本の矢の喩えではないですが、規模の似通った三つの都市の機能を一つの都市にできる限り集約し、成長マーケットを創出する。その都市に新しい産業がやってきて、根付いてくれる可能性… ちょいと苦しいですが、そこに光明を見出したい思いが、個人的には、あります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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なーるほど! 地理的条件を基礎とした説得力のある都市分類ですね。
福島県の復興は国に頼るだけではダメですから、私も三本の矢政策に期待したいと思います。 (2012.10.01 22:06:08)
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