南河内万歳一座「なつざんしょ-夏残暑-」■「仁義なき戦い」■「レボリューショナリー・ロード」
南河内万歳一座の「なつざんしょ-夏残暑-」を鑑賞。約1年半ぶりの演劇鑑賞である。幕が開くと、舞台の上には屋台を囲んだサラリーマンたちの群れ。舞台いっぱいの中で動きを感じさせる人の群れに思わず、映画「仁義なき戦い」の冒頭の闇市シーンを連想させる。そう感じることが出来たところで物語の世界に一気に引き込まれた。物語は全体的には「密室不条理ドラマ」だと思った。夢を叶える別世界へと旅立った果ての挫折ではなく、旅立つことも出来ないままで、そこにいる、そして次の季節を待つという主人公たちの状況は極めて絶望的であり、今日的であると思った。それは、ついに野心を叶えることも出来なかった「仁義なき戦い」の登場人物たち、ついにパリに行くことの出来なかった「レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで」の二人とも共通しているのではなかろうか。