小松左京逝く
「星新一が、新しい魅惑の星へのルートをつくり、小松左京がそこをブルトーザーで地ならしし、光瀬龍がパイロット・カーを駆る」これは日本SF黎明期の構図であるが、ここに登場する3人の作家のうち、星新一、光瀬龍は既になく、小松左京が亡くなられた。心よりご冥福をお祈りしたい。小松左京は、私のSF体験の始まりの作家の一人である。私が好きな小松作品としては、何よりも「果てしなき流れの果てに」である。これほどスケールの大きな作品は、今後も生まれないのではなかろうか。小松SFといえば、長編を思い浮かべるが、短編にも素晴らしい作品がある。「お召し」「新趣向」「召集令状」「夏の終わり」「牛の首」エネルギーに満ちた途方もない創造力と想像力の持ち主であっり、そこから鋭い文明批評が展開されたが、現体制への刃になっていないのが残念であり、不思議であった。