たべる、たいせつ・含有量と摂食量の関係
たくさん含まれていてもたくさん摂れるとは限らない ~含有量と摂食量の関係~ 「含まれている」と「摂れる」は違う食品が含有するいろいろな物質の量は、その食品100gにどれだけ含まれているかで表されることが一般的です。日本で利用される主な食品の成分量を収載した「日本食品基準成分表2010」も同じです成分表を調べて、ある食品にたとえばカルシウムがたくさん含まれていれば、その食品は「カルシウムを豊富に含む食品」と言って間違いではありません。しかし、「だから、それを食べればカルシウムを沢山摂取できる」と考えるのは早計です。たくさん含む食品であっても少し食べるだけでは「たくさん摂れる」とはかぎらないからです。 水分含有量、実際に食べれれる陵を考慮する食品に含まれる成分量を比較し、食生活の参考にするとき、その食品の水分含有量に注意を払ってください。水分を沢山含む状態(湿物)なのか水分を抜いて乾燥させた状態(乾物)なのかです。乾物は水分が著しく少ないので、食品は濃縮された状態にありますしたがって100gあたりで含有量を表すと水分が少ない分だけ他の成分が多くなります。逆に水をたくさん含んでいると他の成分は少なくなってしまいます。干しひじきはカルシウムや鉄、食物繊維を豊富に含みます、同時に水分がとても少ないことにもお気づきでしょう。ひじきは水戻しするとたっぷりと水を含むので、一度の食事で常識的に食べられる量はせいぜい5g程度です。干しひじき5gで摂取できるのはカルシウム70mg 鉄2.8mg 食物繊維2.2g です。たった5gでもこれだけ摂取できるひじきはすぐれものですが、100gあたりの含有量で感じた「すごさ」の期待はしぼんでしまったのではないでしょうか。一方牛乳は水分87%です。一度に200gは無理なく飲めますから摂取できるカルシウムは220mg です。小松菜100gもさほど無理なく食べられる量ですから、カルシウム170mg は現実的です緑茶はビタミンCが多いととのウワサがあります。確かに煎茶100gに260mg のビタミンCは多くみえますが、お茶を淹れるときに使茶葉の量は5g程度でしょうか。「煎茶・抽出」ではわずか6mgのビタミンCでしかありません。1個の温州みかんは100g近くありますから32mgのビタミンCは無理なく摂取できる量です。「良い供給源」であるかどうかを見極めるには100gあたりの含有量だけに目を奪われることなく、実際に食べられる量を冷静に考えることが大切です。 摂取量は含有量×摂取量不足しがちなカルシウムや鉄、あるいはビタミン類をたくさん含む食品を成分表から探し出したり、そう表示してある食品を選んで、その摂取を心がけることは無意味ではありません。しかし、ある食品成分の摂取量はその食品に含有される量と食べる量の積(摂取量=含有量×摂取量)で決まるという関係を忘れないで下さい。