カテゴリ:不安の特徴と役割、欲望と不安の関係
初詣で神社でおみくじを引くと、「大吉、中吉、小吉、末吉、小凶、凶、大凶」などが出てきます。
その時、「大吉」が出ると、何となく今年一年幸運な出来事があるような気がします。 反対に「大凶」が出ると、不吉な出来事が待ち構えているかのような気になります。 外出や冒険は極力抑えて、災難に遭わないようにしようと気持ちを引き締めたりします。 でも現実としては「中吉、小吉、末吉、小凶」などが出る確率が高いようです。 そんな時、何か物足りないなと思う反面、無難なところだなと思う人もいます。 逆に、「大吉」が出ると、運勢としては今が最高潮で、これからは下り坂に向かうのではないかと心配する人もいます。逆に「大凶」が出ると運勢としては今が最悪で、これからは右肩上がりの運勢になるのではないかと希望を持つ人もいます。 ここで肝心なことは、「大吉」と「大凶」という両極端なおみくじばかりが入っているのではなく、「大吉、中吉、小吉、末吉、小凶、凶、大凶」といういろんなおみくじが入っているということです。 またこれは今年1年の運勢がその通りに確定されるものではなく、それを信じるかどうかはその人の気持ち次第という側面があります。このように捉えると、引き当てたおみくじにとらわれていつまでも右往左往することはなくなると思います。 私たち神経質者は、おみくじの場合はどうしようもないことなのでそのまま受け入れます。 しかし、容姿、神経質性格、思想や観念、ミスや失敗、他人の言動などに対しては、よいか悪い、0が100、白か黒というふうに決めつけてしまうという傾向があります。 是非善悪の価値判断をしてしまうのです。 せっかちで、柔軟性に欠けていて、融通が利きません。極めて硬直的です。 そういう言動をとっていると、自分も苦しいが、他人を巻き込んで生きずらさを引き寄せてしまいます。 容姿については、普通だと判定すればそのことを気にかけることはありません。 ところが、一旦劣等感を抱いてしまうと、そこに意識や注意を集中させて、いつまでも悶々と悩み続けることになります。 また優越感を持つようになると、自分より劣等な人を軽蔑するようなことも起こります。 このような極端な考え方や見方をすると、自己嫌悪や自己否定で苦しむようになります。 そのうち、自分は何をやってもダメだと人格否定をするようになります。 自分の人生は終わったも同然だと人生に対して投げやりになる。 実際には、髪の毛は薄くても、歯が丈夫だとか、生活習慣病検診では異常がないとか、花粉症とは縁がないとかという側面もあるわけです。 逆に言えば髪はふさふさで若く見えるが、歯は入れ歯だらけで、花粉症には弱いという人もいるのです。 ですからここで大事なことは、一つの側面からだけ見ていては、間違いが発生しやすいということです。 別の側面からも見ることができるような能力を獲得することが必要になります。 森田理論では「両面観」「精神拮抗作用」というテーマで学習する部分です。 マイナス感情が湧き起こったときに、自分自身に「その考え方、ちょっと待て」と投げかけることができるようになるとよいのだと思います。この能力は意識しているとできるようになります。 両面観や多面観で見ることができるようになると、弱みや欠点、ミスや失敗も許せるようになります。 森田では両面観でプラス面もマイナス面も均等に見ないと物を見たことにはならない。 主観的でネガティブ、悲観的なものの見方は間違いだらけになる。 マイナス面に際立った感情が湧き起こったときは、プラス面の感情にも焦点を当てて中和してバランスをとっていくことが、精神的に健康に生活していく秘訣だと考えています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019.05.15 06:30:12
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