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森田理論学習のすすめ

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2022.07.31
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この小説は藤沢周平の作品である。江戸時代の話である。
三屋清左衛門は藩の用人(藩主の補佐官)まで出世したが、今は引退している。
しかし、昔の役職の関係からさまざまな相談事が持ち込まれる。
それをテーマにした小説である。

その三屋清左衛門は後悔の念で夜眠れないことがあるという。
それは、駆け出しのころ、同じ用人の中に小木慶三郎という人物、才覚が一歩抜きんでいる人がいた。
小木は容姿端麗、弁舌さわやか、事の処理にあっては冷静沈着であった。
藩の要職にいる人間の中には、いずれ小木が藩政の枢要な地位に着くだろうとみていた。その小木慶三郎が突然現在の妻を離縁するという出来事があった。
そして身分が格上の家の出戻り女性との縁談を進めているという。
その縁談の許可願いが藩主に出されていた。
この件については、よからぬうわさが城内で飛び交っていた。
立身出世を狙った政略結婚でないかという噂である。

あるとき、藩主が三屋清左衛門にどのような噂なのか情報提供を求めた。
三屋清左衛門は対抗心を持っていたため、無意識によからぬうわさのについて報告した。
それから2年後の秋、小木慶三郎は出世街道から外されて地方に飛ばされた。
その後退職まで村廻りの仕事しか与えられなかった。
本来は自分を押しのけて、藩主の筆頭補佐官になるべき人が左遷されたのは、自分の根も葉もない噂話のせいではなかったのかと、隠居したころから夢に出てくるようになったのである。

私の感想です。人間は後悔する生き物である。
後悔することが一切ないと言い切れる人がいるだろうか。
あんなことを言わなければ良かった。あんなことをしなければよかった。
もっと優しくしてあげるべきだった。辛抱すればよかった。
仕事にしても、結婚にしても選択を誤ってしまった。
子供をもっと立派に育てることは出来なかったのか。
自分を育ててくれた親に対して優しくしてあげればよかった。
部下をきちんと一人前に育てることは出来ないものだったのか。
どうして仕事に前向きに取り組むことができなかったのか。
どうして友達に冷たく反発してしまったのか。
そのせいで、自分の一生に禍根を残してしまった。
やり直すことができればいいのだが、今となってはどうすることもできない。
若気の至りで自分の犯したミスや失敗を悔いているのである。

後悔は神経症的不安と同じでコントロールすることは出来ません。
せめて同じような過ちを繰り返さないようにすることしかできません。
後悔はそのまま持ちこたえて、生活していくことしかできません。
そして一生を終わるしかないようです。

藤沢周平氏はこの小説の最後でこう締めくくっています。
(中風で半身不随の平八が)いよいよ歩く修練をはじめたか、と清左衛門は思った。
人間はそうあるべきなのだろう。衰えて死がおとずれるそのときには、おのれをそれまで生かしめたすべてのものに感謝をささげて生を終わればよい。
しかし、いよいよ死ぬるそのときまでは、人間はあたえられた命をいとおしみ、力を尽くして生き抜かねばならぬ、そのことを平八に教えてもらったと清左衛門は思っていた。
(三屋清左衛門残日録 藤沢周平 文春文庫 436ページ)





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