カテゴリ:森田理論学習の進め方
棋士の羽生善治氏のお話です。
人間には思考を省略して考えることができる素晴らしい能力があるのですが、時にはそれが先入観や、偏見となって新しい発想を妨げることもよくある。 (捨てる力 羽生善治 PHP文庫 90ページ) 将棋の世界には定跡というものがあります。 これは長い歴史の中で、こういう展開になれば、こういう流れで決着がつくというものです。定跡は長い時間をかけて練りこまれ、現在に伝えられているものですから信頼性が高いものです。 ですから棋士は誰でも定跡の研究をしています。 そしてそのパターンに入ってくると、無意識に定跡に従って黙々と駒を指すことがあります。素人相手だと何も考えなくても、定跡に従って黙々と指していけば難なく勝つことができます。 しかし定跡通りに指しても、プロ棋士を相手にした場合は勝てないのです。 過度に定跡に頼っているとカモにされてしまいます。 それは定跡の攻略法も研究されているからです。 定跡による先入観、決めつけ、思い込みは時として勝負の足かせになります。 ここではまっさらな状態で、先入観なしに局面に対峙することが重要になります。 自分独自のアイデアや判断力を付け加えることで初めて勝負の土俵に上がることができます。 自分の感性やスタイル、個性や独自性を打ち出すと、それが他と差別化された強みに変わってくるのです。 この考え方は、森田理論学習をしているものにとって参考になる話です。 森田理論の学習をすると、多くの間違った考え方が修正できます。 また神経質性格の活かし方もよく分かります。 誰でも人生の羅針盤を手にしたような気持になります。 たとえば、神経質性格の特徴では、神経質性格はプラスに捉えればこれほどはぐくみあいのある性格はないことがよく分かりました。 感情の法則では、感情は自然現象であり人間の意志の自由はないことが分かりました。 不安と欲望の単元では、神経症的な不安は、その裏に大きな欲望があることが分かりました。 思想の矛盾の学習では、「かくあるべし」を押し付ける態度が、葛藤や苦悩を生み出していることが分かりました。 人間関係は「不即不離」を活用していけばよいことも分かりました。 これ以外にも数多くのことを学ばしていただきました。 これらは将棋でいえば定跡のようなものだと思います。 森田理論に出会い、定跡を学ぶことができたことは、とても幸運だったと思います。せっかく定跡を手に入れたのですから、ここにとどまっていてはもったいないと思います。 今度は、この定跡を日常生活や仕事に十二分に応用し、活用する方向へ進んでいくべきではないでしょうか。 森田理論学習と森田の実践・行動は車の両輪のようなものだといわれます。 この車輪が同じ大きさのとき、力強く真っすぐ前に向かって前進します。 しかし森田理論学習の車輪が大きなものに替えられても、実践・行動の車輪が小さいままだと、一向に前進しないで、そこに留まってグルグルと空回りするようになります。 ある程度学習を積み重ねた後は、思い切って港を離れ、大海に漕ぎ出すことが大事になってくるのではないでしょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022.11.16 06:44:56
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