カテゴリ:行動のポイント
鍵山秀三郎氏のお話です。
警察官のAさんは、正義感の強い方で、正しいことは正しいと言い続ける人です。 法で定められたことを、曲げずに主張するものですから、周りの方と摩擦が起きていたのです。 同僚からも「そんなに堅苦しくやらずに、もう少し柔らかくなれ」と言われていたそうです。私と出会った頃もずいぶんと悩んでおられ、警察を辞めようかと思われていた時期でした。 当時は帯広の駐在所の勤務でしたが、不法駐車を巡って住民との間でトラブルになっていたのでした。 厳格な取り締まりのために、住民から不満が噴出していたのです。 Aさんは私にそのような悩みを打ち明けられたので、私は言いました。 「毎朝、奥さんと一緒に近隣の掃除をしなさい」と。 それからAさんは奥さんと二人で掃除を始め、40日くらい続いた頃に、住民の駐車違反がなくなったそうです。 住民との関係が、掃除をきっかけに良好になったのです。 その後Aさんは帯広から札幌に転勤になり、留置場勤務となりました。 留置場は真ん中に通路があり、両側に未決囚が入れられているそうです。 私はAさんに、「朝就業時間前に通路を掃き、雑巾がけをし、囚人の顔を見て声を掛け、おはようございますと挨拶をするように」と言いました。 それを毎朝続けていたら、囚人が隠し持っているものをみんなAさんに出すようになったそうです。 (大きな努力で小さな成果を 鍵山秀三郎 育鵬社 183ページ) この話は、毎日掃除に真剣に取り組むと、自分の心も同時に浄化されるようになるということだと思います。 そして、自分の心が浄化されると、それを見ていた周囲の人の心や考え方や行動によい影響を及ぼしていくことではないでしょうか。 不思議なことがあるものです。本当のことかと疑心暗鬼になります。 今日はその現象に焦点を当ててみたいと思います。 このケースでは、掃除をする責任のない人が掃除をされました。 もちろん報酬を伴わないボランティアです。 それを毎日のルーティンワークとして継続されました。 その結果、公道や留置場がきれいになりました。 と同時に、目には見えませんが、Aさんの心のなかもきれいに掃除されたのでしょう。 それを見ていた人は、最初はあの人は何をしているのだと不審に思われたのでないでしょうか。悪く考えると、何か魂胆があるのではないか。 あるいは、これ見よがしにあてつけがましいことをしているのではないか。 しかし40日も続けていたら、そんな気持ちが薄らいできました。 これは、掃除に取り組むことで、周りの人の心もいっしょに浄化されたということではないでしょうか。 周りの人の心も気づかないうちにすっきりときれいに掃除されていたのです。 周りの人の心の中の汚れなどが取れてきたのです。 泥水の泥が底に沈殿して、上水がきれいに澄んできたような感じです。 汚かった水が魚の住める水に変わってきたようなものです。 心が澄んでくると、ねぎらいの言葉をかける人が出てきました。 しだいに共感者や賛同する人が生まれてきました。 その流れはしだいに大きなうねりとなり、渦を巻くように広がっていきました。 毎日きちんと掃除している人は、心の中もきれいに浄化されます。 掃除をほとんどしていない。どうにもならなくなって初めて掃除をするという人の場合は、心のなかは少々荒れ気味ということかもしれません。 心の中は目には見えませんが、自分では気づかないうちに、他人に対する心ない言動として噴出するようになるかもしれません。 さらに心の中が荒れている人は、やることなすことが裏目に出るようになります。 人間関係もうまくいかない。仕事もうまくいかない。子育てもうまくいかない。 そのうち投げやりになって、人生に愛想をつかすことにもなるかもしれません。 隅々まで掃除されている場所やきちんと掃除や整理整頓を心がけている人の側に行くと、何か自分にも良いことが起きそうな気になります。 その人のオーラを受けて感化されるようになるのです。 あえて汚してやろうとか、悪さをしてやろうとは考えなくなります。 自分を気持ちよくしてくれたことに感激・感動するようになります。 できればお役に立つことがあれば協力してもよいと考えるようになります。 掃除による心の浄化作業は、しだいに周りの人に波及してくるということです。 その結果、よくないことや迷惑行為をする人が少なってきます。 住環境も人間関係もともに改善されます。 そして思いやりのある住みやすい社会に生まれ変わります。 凡事徹底の取り組みの一つとして、掃除に取り組むことをお勧めします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.01.23 06:29:12
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