図書館で『写実絵画とは何か?』という本を、手にしたのです。
この本には若い女性を、実物どおりにきれいに描いた作品が多いのだが・・・
ワイエスといい、ダリといいスーパーリアリズムは、大使のツボなので、借りたわけです。
石黒賢一郎「SHAFT TOWER(赤平)
【写実絵画とは何か?】
安田茂美, 松井文恵著、生活の友社、2015年刊
<出版社>より
実物と見間違えるほどの圧倒的な描写力で描かれた女性像、風景画、静物画をテーマ毎に紹介。刊行にあわせて11月からホキ美術館では5周年記念展を開催。また2016年にはホキ美術館展が全国6会場を巡回する予定。
<読む前の大使寸評>
この本には若い女性を、実物どおりにきれいに描いた作品が多いのだが・・・
ワイエスといい、ダリといいスーパーリアリズムは、大使のツボなので、借りたわけです。
rakuten写実絵画とは何か?
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ホキ美術館創設者の想いについて、インタビューで見てみましょう。
p234~236
<日本の写実を世界へ>
安田:ホキ美術館は今年で5周年です。
保木:もう5年になるのですね。私はこの美術館を、他に写実の美術館がないからという理由で作りました。世界を見ても写実専門美術館はない。ほかと同じことをするのは嫌なのです。またその時に、地下2階にあるギャラリー8ですが、この美術館の目玉になる展示ギャラリーをつくりました。
まず美術館ができる2年前に日本の代表的な15人の写実画家の皆さんに集まってもらって、「私の代表作」を描いてもらいたいとお願いしました。つまり、「私の代表作」となる意気込みで百号以上の大作を依頼したのです。
それから3年経って、またギャラリー8の展示替えのために作家にお願いして新作を描いてもらいました。発表は2013年の秋でした。代表作家の中では少し人選の入れ替えがありました。個々で描いてもらう作品は、特にテーマは決めず、作家の皆さんに自由に決めてもらっています。私は、ただ質のいい絵を描いてもらいたい。そうして日本の写実絵画が良くなればと思っているのです。
安田:ギャラリー8の「私の代表作」ですが、1回目と2回目の作品で違いはありましたか?
保木:お客様の反応で、良かったものとそうでないものがありましたし、マスコミがこぞって取り上げた作品もありました。2回とも作風、スタイルが変化しなかった画家もいましたし、大きく変化した方もいます。まさに現役の画家なので、隣に展示される画家や周りの画家たちが次に何を描くのか気にする人もいました。企業もそうですが、いい意味で競争は必要なのですね。
安田:なるほど、現役の作家の作品を集める美術館でなければできない企画ですね。
保木:それで、今回、この本のために所蔵作品の約四百数十点の中から55点の作品を選びました。できれば、この中で人気投票をやりたいと思っています。風景画ではどれが一番なのか、人間を描いた作品ではどれが一番なのか、静物画は誰が一番なのかというふうに作品の順位、また画家の順位を投票することによって決定する。できるだけ平等に、公平に、お客様に選んでもらいたいと思っています。
来年度以降、ホキ美術館のコレクション展として、全国の4,5ヶ所ほどを巡回する予定ですが、そこでも同じ作品について人気投票をして、どの作品が人気なのか調べてみたい。企業でもそうですが、平等な競争を前提に成績競争をすれば、意外と不平は出ないのです。
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『写実絵画とは何か?』1