衆院選挙では、小池さんの誤算があったにせよ、あらためて自公の強さを思い知ったわけでおます。
ということで、図書館に予約している『自民党―「一強」の実像』という本を、心待ちしているのです。
【自民党―「一強」の実像】
中北浩爾著、中央公論新社、2017年刊
<BOOK」データベース>より
自民党は結党以来38年間にわたり政権を担い、2度「下野」したが、2012年に政権に復帰。一強状態にある。その間、自民党は大きな変貌を遂げた。本書は、関係者へのインタビューや数量的なデータなどを駆使し、派閥、総裁選挙、ポスト配分、政策決定プロセス、国政選挙、友好団体、地方組織、個人後援会、理念といった多様な視角から、包括的に分析。政権復帰後の自民党の特異な強さと脆さを徹底的に明らかにする。
【目次】
第1章 派閥ー弱体化する「党中党」/第2章 総裁選挙とポスト配分ー総裁権力の増大/第3章 政策決定プロセスー事前審査制と官邸主導/第4章 国政選挙ー伏在する二重構造/第5章 友好団体ー減少する票とカネ/第6章 地方組織と個人後援会ー強さの源泉の行方/終章 自民党の現在ー変化する組織と理念
<読む前の大使寸評>
衆院選挙では、小池さんの誤算があったにせよ、あらためて自公の強さを思い知ったわけでおます。
・・・ということで、時宜を得たこの本を読んでみます。
<図書館予約:(7/18予約、2/01受取)>
rakuten自民党―「一強」の実像
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「終章 自民党の現在」から小泉さんや安倍さんの政治手法を、見てみましょう。
p280~282
<新自由主義的改革と利益誘導政治>
人事における包摂と排除の違いは、政策とも密接に関連している。小泉首相は「古い自民党をぶっ壊す」と叫び、利益誘導政治を打破すべく、政府の介入を抑制し、市場メカニズムを重視する新自由主義的改革を断行した。
具体的に述べれば、大幅な歳出カットを行い、公共事業費を毎年3~4%削減するとともに、年金・医療などの社会保障費や地方自治体向けの補助金・交付金を抑制した。「平成の大合併」も推進する。労働市場をはじめ様々な領域で規制緩和が進められ、郵政事業や道路公団の民営化も実施された。
それに対して2012年に首相の座に復帰した安倍は、アベノミクスを打ち出し、積極的な金融緩和、公共事業などの財政出動、規制緩和をはじめとする成長戦略を「三本の矢」と位置づけた。
大規模な金融緩和を中心に据えつつ、自民党の伝統的な利益誘導政治と新自由主義的改革とを両立させようとしたのである。そうしたなか、公共事業費や土地改良予算が当初予算で毎年増額され、診療報酬も本体部分のプラス改定が続いている。地域活性化を図る「地方創生」も掲げられた。
安倍首相が自ら「世界で一番企業が活躍しやすい国を目指す」、「岩盤規制を打ち破るための『ドリルの刃』になる」などと演説したように、新自由主義的改革が進められているのは確かだが、そこには大きな限界が存在する。
例えば、自民党の友好団体の御三家の一つである全特を敵に回した小泉の郵政民営化とは異なり、農協改革はJA全中の同意の下、その一般社団法人化にとどまった。准組合員の利用制限が見送られ、自民党の集票を担う都道府県中央会も実質的には温存された。
それとの関連で、政策決定プロセスも異なる。いずれも首相直属の諮問機関を駆使して官邸主導の政策決定を行なっている点では共通している。しかし、郵政民営化を看板政策とする小泉首相が、郵政族などの抵抗を押し切るために、自民党の事前審査制に風穴を開けようとしたのに対して、安倍首相は弱体化した農林族の同意を取りつけながら農協改革を進めるなど、事前審査制を巧みに利用することで、トップダウン的な政策決定を安定的に実施している。
小泉内閣による新自由主義的改革が、全特をはじめ友好団体の弱体化や離反に拍車をかけたのとは違い、安倍政権の下での自民党は業界団体などとの関係を緊密化させている。(中略)
以上要するに、安倍自民党は、「自主憲法の制定」の党是をはじめ、右派的な理念を中心に据えて民主党・民進党に対向する一方、自民党が内包する様々な要素を両立させ、党内の一体性を確保している。現在も自民党では、党内の足並みの乱れが2009年の政権からの転落の大きな原因になったという認識が根強い。つまり、「内なる結束」と「外への対抗」という点にこそ、安倍自民党の特徴が存在する。
<右傾化する理念>
(追って記入予定)
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しかしまあ、衆院選の選挙結果であるが…
安倍さんのなりふりかまわない衆院解散に、準備不足の野党は翻弄されたわけで、とくに小池さんの奢りと誤算が大きかった。
北朝鮮や中国の脅威を「国難」として選挙戦を戦った政権党の勝負勘は鋭かったと言えるし…外国メディアもそのあたりを評価しているようです。