図書館で『キャッシュレス進化論』という本を、手にしたのです。
「いつもニコニコ現金払い」がモットーのアナログ老人にとってキャッスレスは脅威なのです。
【キャッシュレス進化論】
安留義孝著、金融財政事情研究会、2019年刊
<「BOOK」データベース>より
これでいいのか!?日本のキャッシュレス。必要なのはFinTechではなく、LiveTech。決済は日常生活の利便性を追求し進化すべきもの。決済事業者による“お仕着せ”のキャッシュレス化にNOを!世界中のキャッシュレスを知り尽くす著者が、日本に足りない視点を提示。
<読む前の大使寸評>
「いつもニコニコ現金払い」がモットーのアナログ老人にとってキャッスレスは脅威なのです。
rakutenキャッシュレス進化論
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「第2章 日本の決済はいま」で日本のキャッシュレス化を、見てみましょう。
p14~16
<2-1 現金を中心とした日本の決済環境>
日本の銀行口座保有率は98.2%(2017年、World Bank)と世界のトップクラスを誇り、10万人当たりの銀行の店舗は34.0店、ATMは127.7台である。その数は10年以上大きな変化はない。キャッシュレス化が進む欧州などの先進国では基本的には減少の一途で、経済成長が進むアジアの途上国では増加の一途だが、日本は良くも悪くも安定してしまっている。
そして、郵便局、農協、コンビニ(ATM)が全国津々浦々まで展開され、地方都市も含めた金融包摂が実現できている。
その恩恵を受け、給与は銀行口座に振り込まれるものの、自宅、勤務先・学校の付近はいうまでもなく、リゾート地でも、いつでも、どこでも、現金を手に入れられる環境が整う。
紙幣もきれいで、その精巧さからも偽札も限りなくゼロである。また、ある一定期間で紙幣が更新されるのも、偽造防止には役立っている。当然だが、紙幣を製造するにはコストがかかる。日本は国内で製造する技術力をもつが、その技術を持たない国は、紙幣の製造を外国に委託しなければならず、外貨の準備ができない国では、古い、汚い、疲れた紙幣が流通し続けている。
最高紙幣が1万円で、加えて5000円、2000円、1000円と4種類だが、実際りゅうつうしているのは2000円を除く3種類であり、わかりやすい。そして1万円札1枚あれば1日の生活費には十分であり、経済と紙幣のバランスは良い。なお、インドネシアの最大価値の紙幣は100,000ルピアだが、約750円の価値しかない。ちょっとした買い物でも、財布がパンパンになってしまい、その桁数から計算も混乱してしまう。
そして、コインも500円、1大薗、50円、10円、5円、1円と種類も適切で、見分けヤスク、サイズも良い。またオーストラリアの50セント硬貨は31.51㎜で500円硬貨の26.5㎜と比べてもかなり大きい。一説では、オーストラリアは効果の扱いにくさが、キャッシュレス化の進展に貢献したといわれている。
そして、日本の治安は良く、盗難のリスクは非常に少ない。万が一財布を落とした場合でも、他国と比べれば、見つかる可能性は非常に高い。
さらに高額紙幣の1万円札の支払でも拒否されることはなく、POSのおかげでもあるが、日本人はケイ酸が得意な国民であり、精算時の誤りも限りなく少ない。
<2-2 意外に進んでいる日本の決済の多様性>
しかし、現金決済の環境が整う日本だが、いうまでもなく、すでに現金だけで生活しているわけではない。
クレジットカードは平均2.5枚保有し、首都圏をはじめ、IC乗車券が普及する地域に在住の人はSuica、PASMOなどの交通系電子マネーを日々利用している。生活圏にイオン、セブン-イレブンがあれば、同様に、WAON、nanacoもりようしている。さらに、ライフスタイルに応じてスターバックスなど個店ごとの電子マネーをもつ人も多い。ECではPayPal(ペイパル)などの決済代行も利用されている。
しかし、欧州ではデビッドカードがキャッシュレス決済を支えているが、日本では普及していない。ただし、日本のクレジットカードの利用方法は、海外諸国と異なり、実質的にはデビッドカードと同じともいえる。一括払いが中心であり、利用のつど、銀行口座から引き落とされることはないが、翌月の支払日の残額を意識しながら利用している人が多い。
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