図書館に予約していた『社会的ひきこもり』という新書を待つこと2日でゲットしたのです。
やや硬い内容の新書のせいか予約ゼロだったので、予約してみたら超速でゲットできました。
【社会的ひきこもり】
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斎藤環著、PHP研究所、2020年刊
<「BOOK」データベース>より
仕事に就かず、外出もせず、時に何年も自分の部屋に閉じこもったまま過ごす「ひきこもり」の数は、年齢を問わず全国で増加している。精神科医として現場で「ひきこもり」の治療に携わってきた著者は、いわゆる正論やお説教では決してこの問題を解決することはできない、という。「ひきこもり」を単なる「個人の病理」でなく、個人・家族・社会という3つのシステムの関わりの障害による「システムの病理」とする捉え方から、正しい知識と対処の仕方を解説。ロングセラー『社会的ひきこもり 終わらない思春期』に最新情報を加筆・修正した待望の復刊。
<読む前の大使寸評>
やや硬い内容の新書のせいか予約ゼロだったので、予約してみたら超速でゲットできました。
<図書館予約:(12/25予約、12/27受取)>
rakuten社会的ひきこもり |
まず「改訂版まえがき」の冒頭を、見てみましょう。
p3~5
<改訂版まえがき>
『社会的ひきこもり 終わらない思春期』(1998年)は私にとって、ことのほか思い入れの深い本です。私の単著デビューは、この本に数ヶ月先立って出版された『文脈病』(青土社)でしたが、この本は私が一般向けに書いたはじめての本であり、また私の著書のなかではいまだ唯一の「ベストセラー」でもあるからです。
さすがに20年ほど前の本ということもあって、今回の改訂版を出すにあたって一通り読み返してみたのですが、意外なほど内容が古びていないので安心しました。もちろん細かいところで状況が変わったり、考え方を変えたりしたところはあります。しかし対応の基本方針は、現在もそれほど変わっていません。これは私の進歩がないせいなのか、あるいは弱冠30代にしてすでに卓越した精神科医だったためなのか、後者と思いたいのは山々ですが、そのあたりの判断は読者に委ねたいと思います。
せっかくこの改訂版を手にとってくださった方のために、本書の変更点について簡単に述べておきたいと思います。
まず、ひきこもりの定義です。「6ヶ月以上社会参加をしていない」と「ほかの精神障害がその第一の原因とは考えにくい」の二つは、その後も厚生労働省や内閣府の定義として使われており、変更はありません。
ただ最初の定義にあった「20代後半までに問題化する」の部分は、現代ではもう通用しないため削除しました。30代、40代からひきこもる人が急増しつつあり、そのこともあってひきこもりの高齢化が急速に進行しつつあるからです。
元の本では、ひきこもり人口を「数十万人」と推定している箇所がありました。また、当時受けた雑誌のインタビューでは100万人とも述べており、この数字は本書の帯にも使われていました。当時はまだ国や自治体の長さなどはなされていませんでしたから、この推定は体感的なものでしかなかったのですが、それほど「外れ」ではなかったことが最近の調査でわかってきたのです。
2016年には内閣府は、15~39歳を対象にした「ひきこもり」実態調査の結果を公表しましたが、それによると日本全体でのひきこもり人口は推計約54万1000人でした。
また2019年にも内閣府は、40~64歳のシニア層を対象とした「ひきこもり」調査結果を公表していますが、こちらでは全国で推計61万3000人でした。単純に加算することはできませんが、それでも100万人以上がひきこもっているという現状がはじめて明らかになったのです。
同時に、これまで「若者問題」と思われてきたひきこもりが、すでに全世代の問題になりつつあることもわかり、社会に大きな衝撃を与えました。いまやひきこもりは、どこでも、誰でも、何歳からでも起こりうると考えるべきなのです。
引きこもり人口の増加とともに、現在問題になっているのは、先にも述べたひきこもりの高齢化です。「8050問題」という言葉があります。文字通り、80代の親が50代のひきこもりの子の世話をしている家庭を意味する言葉ですが、こうした状況がまれなものではなくなりつつあります。
私は2014年に「社団法人 青少年健康センター」が主宰する家族会の参加者にアンケート調査を行いましたが、この時点で当事者の平均年齢は34.4歳、親の平均年齢は65.5歳、平均ひきこもり期間は12年11ヶ月と、深刻な高齢化傾向、長期化傾向があきらかになりました。わが子のけあ疲弊した家族の多くが、うつ状態の高いリスクを抱えていることもわかりました。
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