『宇宙はなぜこんなにうまくできているのか』という本を再度読み直したいわけで・・・以下のとおり復刻します。
*********************************************************
図書館で『宇宙はなぜこんなにうまくできているのか』という本を、手にしたのです。
朝日新聞の連載コラム「村山斉の時空自在」を3年間も続けた村山博士である。
難しい事象を読みやすい筆致で面白く書くことにかけては、天下一品でんな♪
【宇宙はなぜこんなにうまくできているのか】
村山斉著、集英社、2012年刊
<商品説明>より
これほどやさしい宇宙論の本はなかった!
なぜ太陽は燃え続けていられるのか。なぜ目に見えない暗黒物質の存在がわかったのか。なぜ宇宙はこんなにも人間に都合よくできているのか・・・宇宙の謎がよくわかる、村山宇宙論の決定版。
<読む前の大使寸評>
朝日新聞の連載コラム「村山斉の時空自在」を3年間も続けた村山博士である。
難しい事象を読みやすい筆致で面白く書くことにかけては、天下一品でんな♪
rakuten宇宙はなぜこんなにうまくできているのか
|
「第7章 宇宙の未来はどうなるのか」で、宇宙のインフレーションを見てみましょう。
p168~173
<膨張の後押しする暗黒エネルギー>
宇宙には目に見える星や目に見えない暗黒物質を含めて、たくさんの物質が音在します。その量は変わらないので、宇宙が膨張すれば密度は薄まるのはわかりますよね? たとえば宇宙の大きさ(二点間の距離)が二倍になれば、体積は(タテ×ヨコ×高さですから)その三乗の八倍になります。体積が八倍になれば、その中にある物質の密度は八分の一に薄まるわけです。
そうやって物質の密度が薄まれば、空間内部のエネルギーも薄まるでしょう。そのエネルギー宇宙を押し広げているのですから、宇宙が膨張するにつれて速度は遅くなっていくはずです。
ところが、その膨張が実は加速していました。つまり、膨張するにつれて薄まるはずのエネルギーが、逆に増えているわけです。こんなに不思議な話はないでしょう。いわば、時間が経てば冷めていくはずのコーヒーが、どんどん温度を上げていくようなものです。どこかから謎のエネルギーが加わっているとしか考えられません。
この謎のエネルギーを、研究者たちは「暗黒エネルギー(Dark Energy)」と名付けました。暗黒物質と同様、とにかく正体がさっぱりわからないので、とりあえずそんなふうに呼んでおくしかありません。暗黒エネルギーは、宇宙が広がるたびにどこからともなく増え続け、放っておけば減速してしまう膨張をぐいぐい後押ししているのです。
その暗黒エネルギーが宇宙全体に占める割合は、2003年にわかりました。それを調べたのが、第5章に登場したウィルキンソン・マイクロ波異方性探査機WMAPです。その観測結果も、宇宙研究者を大いに驚かせました。
宇宙にある物質をエネルギーに換算すると(E=mc2を思い出しましょう)、原子でできている通常の物質は。たったの4.5パーセントにすぎません。物質の五倍もある暗黒物質も、宇宙全体から見れば約23パーセント。そして、残るおよそ73パーセントを暗黒エネルギーが占めているのです。
エネルギーという観点から考えれば、宇宙は大半が暗黒エネルギーでできているといっても過言ではありません。その正体がわからなければ、宇宙のことを理解したとはとてもいえないでしょう。日本でも、直径8.2メートルの鏡を持つ世界最大級のすばる望遠鏡を使って暗黒エネルギーの正体を暴こうという「すみれ計画」を進めているところです。
(中略)
およそ100年も前に、暗黒エネルギーの存在を予見していたかのように思える計算をしたアインシュタインには驚かされます。彼が遺した宇宙定数は、宇宙論を研究するすべての科学者に与えられた宿題のようなものだといえるのではないでしょうか。
<インフレーション宇宙論>
もちろん、超新星の観測で加速膨張の事実がわかって以来、多くの研究者が暗黒エネルギーの謎に取り組んでいます。まだ何もわかっていないに等しい状態ではありますが、その研究の中で、ひとつ大きな疑問が生じました。暗黒エネルギーそのものが大きな疑問ではあるのですが、実はその量が少なすぎると思われるのです。
これを本気で説明すると例の量子力学から始めることになるので、ごく簡単にお話しします。細かいことはさておき、ともかく「真空」にエネルギーがあると思ってください。ふつう、真空とは空気も何もないカラッポのように見えるところでも、粒子と反粒子が対生成と対消滅を繰り返しています。対生成を起こすにはエネルギーが必要ですから、何もないと思われている真空からエネルギーを「借りている」としか考えられません。その「借金」を、対消滅のときに生まれるエネルギーで「返済」しているのです。
(中略)
そして、この「真空のエネルギー」は、膨張して体積が増えると、その分だけ大きくなります。ならば当然、暗黒エネルギーは真空のエネルギーではないかと思いますよね? 実際、その可能性は高いでしょう。実は誕生直後の宇宙も、この真空のエネルギーによって凄まじい勢いで膨張したと考えられます。
これは「インフレーション宇宙論」と呼ばれる考え方で、30年ほど前に、東京大学名誉教授の佐藤勝彦先生とアメリカの物理学者アラン・グースがほぼ同時に発表しました。宇宙誕生の10のマイナス36秒後から10のマイナス34秒後というほんのわずかな時間に、宇宙が倍々ゲームで急膨張したとする理論です。
これは、いわゆるビッグバンではありません、一般的には「宇宙の始まりは」だと思われていますが、宇宙論でいうビッグバンは、このインフレーションが終わってから「真空のエネルギー」が熱に変わり、熱い宇宙になったもの。急膨張が済んでからビッグバンが起こり、そこからは膨張速度がゆっくりになったと考えられています。
|
ウーム 論旨明瞭だけど、意味不明ですね・・・それだけ難しいところなんでしょう。
2012年発刊のこの本では、まだヒッグス粒子(2012年に発見)に触れていません。そのヒッグス粒子についてネットを巡ると
最後の素粒子「ヒッグス粒子」の発見はさまざまな謎の解明のスタート台がヒットしました。
『宇宙はなぜこんなにうまくできているのか』5:宇宙のインフレーション
『宇宙はなぜこんなにうまくできているのか』4:宇宙の晴れ上がり
『宇宙はなぜこんなにうまくできているのか』3:暗黒物質
『宇宙はなぜこんなにうまくできているのか』2:ブラックホール
『宇宙はなぜこんなにうまくできているのか』1:太陽系は「新興住宅地」?
『宇宙はなぜこんなにうまくできているのか』(復刻)