図書館に予約していた『ウマは走るヒトはコケる』という新書を、待つこと40日ほどでゲットしたのです。
なんか、力学とか流体力学とかも引用しながら説明する箇所があって・・・これまでよりハード志向であり、読むほうにも覚悟が求められているようです。
【ウマは走るヒトはコケる】
本川達雄著、 中央公論新社、2024年刊
<「BOOK」データベース>より
背骨と手足を得て、脊椎動物は速く長距離を移動できるようになった。走る、泳ぐ、飛ぶと方法は異なるが、動物それぞれが素早い動きを可能にする体のデザインを持っている。ヒトはコケつつ歩くが、これがめっぽう効率が良くて速い。なぜ?鶏の胸肉はササミよりも3倍も大きい。なぜ?渡り鳥が無着陸で何千kmも飛べる。なぜ?魚やイルカには顎がない。なぜ?皆、納得のいく理由がある。動くための驚きの仕組みが満載!
<読む前の大使寸評>
なんか、力学とか流体力学とかも引用しながら説明する箇所があって・・・これまでよりハード志向であり、読むほうにも覚悟が求められているようです。
<図書館予約:(3/31予約、副本1、予約5)>
rakutenウマは走るヒトはコケる |
BuNa第1回 ウニの世界より
最終章の「第11章 ウニの歩行」あたりから食いついてみようと思う次第です。
p269~271
<ウニの体はまったくユニーク>
私自身が研究したことにも若干触れて本書を閉じたい。私がもっぱら研究してきたのは棘皮動物、つまりナマコ、ウニ、ヒトデの仲間で、どれもきわめてゆっくりと海底を這う。こんな逃げ足の遅い動物はたいてい隠れているものだが、棘皮動物は海底に露出して暮らし、それでも食われてはいない。そのことは沖縄の海でナマコの多さに驚き、磯焼けの海のウニの多さにうんざりすればわかる。のそのそしていても食われないのはなぜかが、そもそも私の疑問だった。
その答えは3つの手段で身を守っているから。①毒(ナマコやヒトデ)、②硬い殻と棘(ウニ)、③硬さの変わる結合組織(これは棘皮動物すべてにある)
③については説明が要るだろう。ナマコやヒトデの皮(結合組織)は緊急時に非常に硬くなって動物を守る。このような硬さのすばやく変わる結合組織を私は「キャッチ結合組織」と呼んでおり、棘皮動物独特なものである。
ウニにもキャッチ結合組織があり、やはり身を守ることに関係している。ウニの殻はちょうど栗の毬(いが)のように見えるが、栗とは違い棘を動かすことができる。棘は殻の上の小さな丸い膨らみ(いぼと呼ぶ)の上に乗っており、棘といぼの間はボールジョイントそっくりの関節になっている。関節には筋肉があり、これで棘を振り動かす。
関節には筋肉の他に靭帯があり関節の脱臼を防いでいるのは哺乳類の関節と同様だが、この靭帯がキャッチ結合組織なのである。
これは緊急時には硬くなり、棘をガチッと立てて不動にし、槍ぶすまをつくって身を守る。このキャッチ結合組織が私のライフワークだった。だからいかにして動かなくて済むかの研究をずっとやってきたことになる。そんな人間が本書を書いてしまったのだが、移動運動の研究をまったくやらなかったわけではない。
ウニの棘の根元のキャッチ結合組織は固くなって身を守るだけでなく、ふだんは棘の動きのじゃまをしないように柔らかい状態になっている。だから棘を大きく倒して狭い隙間を通り抜けることもできるし、棘を振って歩くウニもいる。大学を定年退職する前の数年間、ウニの歩行の研究をしたのでここに紹介したい。
<歩帯>
まずウニの体について説明しておこう。ウニの殻はちょっと上下につぶれたボール状であり、これを地球儀に見立てる。殻の頂上が北極(背中側の真ん中)で、ここに肛門がある。口は南極、つまり地面に向いている面の真ん中が口。北極と南極の中間が赤道で、ここが殻の一番太った部分。赤道より下の南半球を口側、北半球を反口側と呼びならわしている。
(中略)
ウニの体は球形だがやはり5放射相称で、歩帯が5本、放射状に配列している。各歩帯は南極と北極をつなぐ経線に沿って走っており、そこに管足が並んでいる。歩帯と歩帯の間が間歩帯で、ここに歩くための棘がある。
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ウーム、やはりちょっと専門的すぎるようで、食いつき難いのでおま♪