太子のツボでもある『ブレードランナー』が、ジャンク・フィクションとして語られている『ジャンク・フィクション・ワールド』という本があるのだが・・・
興味深いので復刻して読んでみようと思いたったのです♪
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図書館で『ジャンク・フィクション・ワールド』という本を、手にしたのです。
ぱらぱらとめくってみると・・・
宇宙戦争、タイムマシン、地球空洞説など、目くるめくジャンク・フィクションが並んでいて、楽しそうな本やでぇ♪
【ジャンク・フィクション・ワールド】
風間賢二著、新書館、2001年刊
<「BOOK」データベース>より
ドラキュラ、フランケンシュタイン、宇宙戦争、タイムマシン、地球空洞説、アトランティス…ホンモノの小説は遠慮会釈なく面白い。
【目次】
『吸血鬼ドラキュラ』は単なる怪奇小説じゃない!/火星人は人類の末裔?/人間は猿か天使か?/“邪視”を持つ男の物語/アイデンティティのエントロピー状態/地球の中はカラッポ?/失われた世界を求めて/海がこわい/最後に合理が勝つ?/恋愛という病を伝染させる小説群〔ほか〕
<読む前の大使寸評>
ぱらぱらとめくってみると、宇宙戦争、タイムマシン、地球空洞説など、目くるめくジャンク・フィクションが並んでいて・・・楽しそうな本やでぇ♪
rakutenジャンク・フィクション・ワールド
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太子のツボでもある『ブレードランナー』が語られているあたりを、見てみましょう。
p196~199
<めくるめくドラッグ小説の傑作>
芥子から採取されるこの興奮剤は、古くは紀元前16世紀のエジプトで医療薬として服用されていたが、ヴィクトリア朝の英国では、それこそ猫も杓子も、この阿片(阿片のエキスをアルコールで薄めた、いわゆるアヘン・チンキである)を今日のアスピリンのように気軽に飲んでいた。時おりしも産業化社会の最盛期で、貧しい労働者たちは長時間働かされるために、このアヘン・チンキを覚醒剤として大量に摂取していたのだ。なにしろ酒やタバコより安かったので、どこの家庭にもアヘン・チンキは“常備薬”として誰もが手にとれる場所に置かれていたという。
■ドラッグ小説の最高峰
もちろん、この阿片を単なる強壮剤・麻酔剤・鎮痛剤としてではなく、感覚・知覚を鋭敏にして精神の拡張や意識の変革をもたらす、幻覚・想像力刺激剤として積極的に常用する芸術家たちもたくさんいた。コールリッジやバイロン、シェリー、ド・クィンシーといったロマン派の詩人や作家たちである。
こうしたドラッグと芸術的想像力の飛翔とが幸福な結合を果たした作品の系譜をたどっていけば、以降、シャルル・ボードレールやテオフィル・ゴーティエ、オルダス・ハクスレー、ジャン・コクトー、ウィリアム・S・バロウズといった現代の有名どころからアンナ・カヴァンやアレクサンダー・トロッキといったマイマー作家の作品まで枚挙のいとまのないほどであるが、ここでは、ジャンクなドラッグ小説の最高峰『パーマー・エルドリッチの三つの聖痕』(1964年)を紹介しておこう。
作者は、1982年に享年52歳で亡くなったSF作家フィリップ・K・ディックである。我が国では、ハリソン・フォード主演の映画『ブレードランナー』(1982年)とアーノルド・シュワルツネッガー主演の『トータル・リコール』(1990年)の作者として知られ、80年代末には静かなディック・ブームを招来し、“現実はひとつではない”ことを主張する彼の数多いSF作品は、今でもカルト的人気を誇っている。
(中略)
果して、パーマー・エルドリッチとは何者なのか? そもそもすべては幻覚なのか? だとしたら、いったい誰の幻覚なのか? そして仮にあるとしたら、本当の現実はどこにあるのか?
幻覚剤の持つ意識改革と精神拡張の効能を見事に複雑怪奇な物語にまとめてみせたドラッグ小説の傑作である。また、ディックの他のLSD小説として、SF史上の名作『火星のタイム・スリップ』(1964年)や『暗闇のスキャナー』(1977年)もあるが、後者は麻薬の恐ろしさを訴えたアンチ・ドラッグ小説としても知られている。
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SF作家フィリップ・K・ディックが生み出した『ブレードランナー』であるが、これがドラッグ小説だったとは・・・もうひとつ腑に落ちないのである(汗)
『ジャンク・フィクション・ワールド』3:ブレードランナー
『ジャンク・フィクション・ワールド』2:ハードボイルド
『ジャンク・フィクション・ワールド 』1:不思議の国のアリス
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■2019.08.24XML
『ジャンク・フィクション・ワールド』3
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