シルクロードのイメージといえば、ラクダの背に乗って砂漠をゆくというのが一般的かと思うのだが・・・
このイメージそのもののような『シルクロード 1万5000キロを往く』という本がええので、以下のとおり復刻してみます。
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図書館で『シルクロード 1万5000キロを往く』という本を、手にしたのです。
ぱらぱらとめくると、地形のカラー画像が多く、やや専門的な本であるが・・・面白そうである。
【シルクロード 1万5000キロを往く】
今村遼平, 中家惠二編著、古今書院、2021年刊
<出版社>より
タクラマカン沙漠の南北を通る中国シルクロードの3つのルートおよび河西回廊(西安?敦煌)の旅行記。地形・地質の専門家が中心だけに,一般の観光ツアーでは訪れない珍しい風景を求めて南へ北へ。上巻には,タクラマカン沙漠の北縁に沿って西へパキスタン国境に至る「天山南路」の旅(2011年)および,天山山脈の北側,ジュンガル盆地を横断する「天山北路」の旅(2014年)を収録。どこまでも続く沙漠,氷河,大草原,そして五色に輝くヤルダン地形に言葉を失う。新疆ウイグル自治区に暮らす人々との交流も楽しい。中国の厄介なトイレ事情も。
<読む前の大使寸評>
ぱらぱらとめくると、地形のカラー画像が多く、やや専門的な本であるが・・・面白そうである。
rakutenシルクロード 1万5000キロを往く
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トルファンのカレーズ
沙漠で生き抜くインフラともいえるカレーズを見てみましょう。
p46~48
<トルファンのカレーズ>
トルファン盆地は内陸感想地域に位置していて、夏季の最高気温50℃、冬季の最低気温マイナス30℃と年較差が著しく大きい。「朝は毛皮の服をまとい、昼間には薄ものの服に着替え、日が暮れるとストーブを囲んでスイカを食べる」のことわざがあるように、日較差もきわめて激しい。
年平均気温は約14℃であるが、年間降水量は最高でも50㎜、平均は約17㎜であり、最低記録は2.9㎜であるが、蒸発量は2838㎜にも達するため、灌漑用水の果たすカレーズの役割はきわめて大きい。
私たちはトルファンのカレーズ博物館を見学した。カレーズは中国だけでなく、乾燥地帯で山岳地から伏流してくる地下水を地下水道に流し、さらにそれを導水するシステムである。
中東地域ではガナート(ghanat)と呼ぶようだが、もともとはアラビア語のカナートの転訛したペルシャ語で、さらにそれがカフレーズとかカレーズに変わった。中国語・カンアールチンのカンは穴とか窪地といった意味である。カレーズはペルシャには5千年ほど前からあったといわれている。その後、北アフリカやイベリア半島から西トルキスタン(現在の中央アジア)などに広まり、東トルキスタン(西域・新疆ウイグル地域)に広がったと言われている。
シルクロードのオアシスは、①カシュガルやホータンのように地上河川の水を利用したオアシスと、②自然湧水を利用したオアシス、それと③トルファンの生命線であるカレーズの地下水路を利用したオアシスの3つのタイプに分かれる。
カレーズの建設は中国における三大土木事業の一つとされる。残りの二つとは、①万里の長城、②李ヒョウが建設した都江堰、秦の始皇帝の時代、皇帝の命を受けて史禄が建設した山脈越えの運河霊渠のなかのいずれかであろう。
一つ一つのカレーズの建設は、これほどの大規模な土木事業ではないが、これら①~③よりも古くから営々と築かれている。トルファン市から2㎞のところにあるカレーズ博物館で見るように多数建設され、いまなお命の水として利用されている。この土木事業は、やはり中国古代土木事業の偉大な遺産である。
<カレーズと地下水>
カレーズは新疆ウイグル地域での呼び名で、中国語ではカンアールチンと呼ぶ。トルファンのカレーズは、天山山脈に降った雨や雪融け水が地下へ浸透し、伏流して地下水となってトルファン盆地へと流下する地下水をうまく取水してきたものなのである。
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『シルクロード 1万5000キロを往く』1
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2021.11.28XML
『シルクロード 1万5000キロを往く』2
https://plaza.rakuten.co.jp/foret/diary/202111280001/