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2010年08月17日
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亀田窮楽の母が、堀川の水の音が高いことを気にして「せがれや、あの音は何か」と尋ねる。

窮楽は「あれは川に水が増したので、それであのような音を立てているんですよ」と丁寧に答える。

暫くすると、母はまた同じことを聞く。

するとまた同じ通りに答える。

客が不審に思って聞くと

「母は頭がぼけて、初めてのつもりで聞くのですから、私もまた始めてのつもりで返事するのです」

と答えたと「思斉漫録」に出ていると、「伝記」という雑誌に載せ、それらをまとめて「初雁」という著作にして出したところ、ある方から「それと同じ話が佐渡に伝えられています」という報告があった。



そして「佐渡昔話集」が送られてきた。



道楽息子が家を飛び出して、ほうぼうを渡り歩いた末に、淀川辺りに宿を借りると、

家には老婆がいて、夜中に「藤六や藤六や」、と呼び起こしては、

「あのごうごういっているのは何かい、聞いてきておくれ」

という。せがれは素直に家の外に出て行っては

「あれは淀川の水です」と答える。

老婆は「そうかい、それならよい」と言って寝るが、暫くすると、

「藤六や藤六や」と呼び起こしては、同じことを聞く。

せがれはその都度出て行っては帰って来て同じ返事をする。

その態度には、少しも不平らしい様子もない。

とうとう朝までに10回も同じことを繰り返した。

道楽者が「馬鹿馬鹿しい。一遍行けば分るのに、何遍出て行くのか」とわらったら、その家の息子は

「親のお蔭でこの世の光を浴びながら、いくら同じことを言われたとて、出ていかなくてどうする」と言った。

道楽者はこの一言に動かされて、急いで家へ帰ったら、両親はもう死んでいた。

「親孝行は親のあるうちにしなくてはならないものだ」と悔やんだという。



森銑三さんは、この趣の話は以前から話とあったものを、親孝行の名の高かった亀田窮楽に結びついたものと解釈すべきであろうかと思われるとされている。(「森銑三著作集第4巻166ページ)





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最終更新日  2010年08月17日 04時12分01秒



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