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2014年11月21日
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カテゴリ:広井勇&八田與一
クラーク精神(Clarkii Spirit)
1 クラークのBoys be ambitiousの現実化の秘密
 「ボーイズ・ビー・アンビシャス」を広く世に広めたのは、札幌農学校第一期生で、札幌独立キリスト教会の初代牧師で母校の教師ともなった大島正健である。大島は後に甲府中学校の校長となり、多くの人材を世に出した。石橋湛山もその一人である。「クラーク先生とその弟子たち」(大島正健)の「初版の辞」に「クラーク博士が来朝されてから今年で早や六十年の歳月が流れ去った。かの島松の駅頭、熱誠をこめて教化された愛弟子達のために残された、Boys be ambitious!の一語は、わが国の青年子弟に深く印象を残し、その弟子等を通してわが国文化の進運に貢献された先生の偉業は末永くその薫りを留めている」とある。なぜ伝道師でないアメリカ人一教師がキリスト教の伝道を志したのか?(資料2p69)
クラークはキリスト教信仰を持った人こそが北海道の開発に貢献できると確信していた。なぜクラークの考えが札幌農学校、北海道だけでなく日本全国に影響を及ぼしたか?その大きな要因は、内村鑑三・新渡戸稲造ら第二期生を中心とした人々が日本の思想・教育・学術に大きな影響を与えたからである。その功績が明らかになるにつれBoys be ambitious!が注目を浴び、世に流布していった。クラークの言葉と考えは、一体どのように現実化していったか?これは二期生の札幌三人組らに顕著で、彼らは思想・学術で日本更に世界で活躍し後世に影響を及ぼした。
マックス・ヴェーバーは「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」で、近代資本主義の成立に当り、プロテスタンティズムの倫理が大きな役割を果たしたと論証した。カルヴァン派の予定説(神はその栄光を顕わすため、人々を「永遠の生命」と「永遠の死滅」に予定した)は、バニアンの「天路歴程」の冒頭で、クリスチャンが「生命を、永遠の生命を!」と叫びながら滅亡の町から巡礼へと走り行く姿のような、ピューリタン信徒の感情を生み出した。彼らは自らの救済を確信するため、世俗の職業労働を天職(英語calling)と見、救いを確信するための最良の手段と考えた。このピューリタニズムの人生観は、市民的な、経済的に合理的な生活態度へ向かう傾向をもった担い手を生み出した。全ては神の栄光を顕わすためとし、職業を神からの「召命」とするこの心理的起動力は、労働と産業活動を神に対する義務と考える。人が勤勉であり、節制すれば、結果において事業が成功し、富裕になる。富による高ぶりや現世の欲望や生活の見栄を防ぐため、得られた利益は再投資する必要があり、ますます富んでくる。富めば誘惑が増えるという悪循環に陥る。これを防ぐために強い自制心と共に富をできるかぎり他に与えねばならない。この英米のピューリタンの心情が生み出した「常に自己の良心に忠実な」「志が大きく目前の小欲に奪われ悪事を行ったり、怠惰、粗暴等であり得るわけがない」類型がジェントルマンである。クラークは校則に代りBe gentleman!を札幌農学校の生徒に与えた。札幌三人組(宮部・内村・新渡戸)は、互いに手紙をやり取りし交友するなかでその精神を鍛え続け、広井勇は常に自らの心に問いながら土木工学の場で実践し続けた。「イエスを信ずる者の契約」でピューリタニズムを受容し、五十年に及ぶ魂の交流を続けた札幌農学校の一、二期生は、日本における近代化・合理化の担い手・推進者となっていった。新渡戸は宮部宛手紙に「Ambition i.e, Aspiration 〔大志、言いかえれば向上心〕」と記し(資料10p111)、広井は「神の教えを守るため努力あるのみ」と記した(資料11p114)。内村は四十年後、第一期生の伊藤一隆と往時を回顧して日記に記した。「われらの標語は故クラークの遺せしBoys be ambitiousであった。われらは、主のために大志をいだき、大事をなすであろうと語った。実に愉快である。」(資料7p80)ピューリタニズムに基づく倫理的生活を守り、向上心を持って努力し続けたことがBoys be ambitiousの現実化の秘密であろうか。





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最終更新日  2014年11月21日 21時02分11秒
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