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2016年05月06日
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3 北の田舎から来たおもとだち

北海道という名の田舎から友人が来た。

「どこへ行きたい?」

「ちっちゃいところへ行きたい。」

私の質問に友人はそう答えた。

 

ちっちゃいところ・・・・・・そうだよな。広大な田舎で日々生活をしている友人だ。

たまには、ちっちゃいところへ行きたいのだろう。

うん、わかった。ちっちゃな盆地『由布院』へ、私は友人を案内した。

 

「どこの家にも柿の木がある!」

友人は驚きながら叫んだ。

北海道には柿の木がないのか。柿の木の北限は山梨らしい。

私は初めて知った。私の方が驚いた。田舎の秋という季節には、やはり柿の木がなくてはならない。

 

「いいな。竹林がある」

今度は竹林を見ていた友人がうっとりとした声で言った。

エッ、北海道には竹もないのか。

そう、竹の北限は青森らしい。北海道には笹しかない。

そう、現在、アイヌの人たちが吹いている竹製の口琴さえも、昔は、木で造っていたらしい。

 

由布岳を見ながら、私は佇(たたず)んだ。心を静かにした。

田舎の風景をつくる柿や竹林がないという北海道に、私は想いを馳(は)せた。

 

そうだよな。柿の木や竹林は、北海道には似合わないよな。

それぞれの田舎には、それぞれの風景をつくるそれぞれの自然があるのだ。

私はこぶしを堅く握った。

 

「ちっちゃな田圃(たんぼ)ばかりだよな」

友人は嬉しそうに微笑んだ。微笑みながら、私を振り向いた。

「広い大地があるけれど、厳しい気候に耐えて生きている北海道。

狭いけれどゆたかな自然に囲まれてい生きている由布院・・・・・・

みんなそれぞれの田舎で頑張って生きているんだな」

 

川沿いの小径を歩いて、私たちは金鱗湖へ出た。

「これが金鱗湖(きんりんこ)ですか・・・・・・これが湖か。秋になると霧の漂う金鱗湖なのですが・・・・・」

友人は呆然と金鱗湖を眺めていた。

 

おいおい、霧の摩周湖と比較しないでくれないか。阿寒湖と比べないでくれないか。

由布院はちっちゃいことを自慢する田舎なんだ。

「ちっちゃいところへいきたい」

そう言ったのはあんただろう。なあっ、ちっちゃな湖だろう。

 

ちっちゃな由布院を十分に楽しんだ友人は、広い広い北の田舎へ戻っていった。






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最終更新日  2016年05月07日 02時11分09秒
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