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カテゴリ:美術・芸術・博物鑑賞
今年の3月19日に続いて、今年2度めの「足立美術館」へ行きます。 そのときとまったく同じ行程で行きました。 朝早いディーゼル特急「スーパーはくと1号」に乗って鳥取まで行き、快速に乗り換えて米子、さらに普通に乗り換えて次が美術館の最寄り駅「安来(やすぎ)」です。 前回から半年も経っていないので、慣れた調子で「はい、次はこれ!」という感じで行動できるのが安心です。(笑) ただ、姫路あたりから土砂降り・・・。 「雨男」の‘本領発揮’か・・・、とあきらめムードに・・・。 ところが、米子あたりで雨がやみました! 最近は「曇り男」ぐらいになってきたようです。(笑) 安来駅からは専用の無料シャトルバスで、ここまで前回とまったく同じ行程で同じ時刻に着きました。 前回はここですぐに美術館に入りましたが、今回はちゃんと‘学習’してあります。 中に入ると、食事はカレーとスパゲティーだけ。 スパゲティーの味は知りませんが、値段はどちらも1365円で、味は‘激マズ’。(笑) そこで今回は、美術館横の旅館兼レストランになっているところに入って、「焼き魚定食」を食べました。 魚の名前は“のどぐろ”だと言っていましたが、私は知らない魚でした。 まあ、ありふれた食感で、味もよく、値段も850円と‘普通’。 腹ごしらえもできて、1時20分。 いよいよ入ります。 チケット売り場の前に立って、ポケットから‘格好よく’(笑)「2年間パスポート」を差し出す私。(^-^;) そうなんです、前回来たときに思い切って「2年間パスポート」を購入したんです。 そこに日付のスタンプを押してもらい、チケットを受け取り、ゲートの左手にあるコイン・ロッカーに荷物を入れます。 前回、コイン・ロッカーの数が少なすぎると思うと書きましたが、裏側にもありました。(^-^;) ゲートを入ってすぐのところにミュージアム・ショップがあるのですが、本来はここは最後に来るべきだとは思います。 でも、きょうは時間的に余裕があるので、‘ちらっと’覗いて見ることにしました。 ・・・日本画のグッズの山。。。 それだけで早くも‘うるうる・・・’。 実物の絵をまだ見ていないのに、なぜか体が振るえます。。。(^-^;) 買うつもりもないのに、10分ほど見て回りました。買う予定のものがちゃんとあることを確認して・・・。 「さあ、行くぞ!」と思ったとき、すごい喧騒が・・・。 中学生の団体が入ってきたのです・・・。_| ̄|○ それも男子校らしく、私服の男の生徒ばかり。 ミュージアム・ショップの入り口に立って、全員が入り終わるまで待ちましたが、いつまで経っても終わりません・・・。 ようやく全員が入った後も、「おお! すごい庭~!」とか言いながら、ちっとも進みません。 (帰ってから調べたんですが、普通の入館料は2200円もするのに、中学生の団体はたったの200円。しかも、教師引率の場合は、「入館無料」なんです。) 結局、無駄に15分待って、ようやく工芸の展示から見ました。 蒔絵のいろいろな箱がありました。 蒔絵にも‘程度’があって、「平蒔絵」→「研出(とぎだし)蒔絵」→「高蒔絵」と大きく分けて3種類あるとのことでした。 技術と手間が違うんですね。 ・・・そこへ30台半ばの夫婦と思われる男女が来ました。 軽く喧嘩腰で話しています。。。 ちょっとうるさい・・・。 工芸品は通路に沿って細長く展示してあって、そこが終わるといったん外に出ます。 今度は和風の建物があって、その窓から外を見ると、‘天然’の絵画や衝立(ついたて)、掛軸に見えるという趣向です。 ・・・そこへさっきの夫婦らしき2人が。。。 さっきより声が荒くなっています。 すると、女の人が「びえ~っ!」と声を上げて泣き始めました。 ・・・勘弁してよぉ。。。_| ̄|○ 通路を歩いて行って、再び建物の中に入ります。 ここは現代の挿絵画家の展示で、興味はありません。 ・・・これ、やめて、普通の絵画を展示したほうがいいと思うんだけどなぁ。。。 そこをさらに奥へ行くと、いよいよメインの建物です。 展示は2階だけです。 まず、小展示室があり、今回は「日本画の中の子供たち」というテーマの展示です。 ここは適当に見て(^-^;)、次の大展示室が気になって落ち着きません。 いよいよ大展示室です。 ここでは「あなたが選ぶ“この1点”」というテーマで、人気のある所蔵作品を36点展示し、見たあとでいちばんよかったと思う作品に「1票」を投じるという趣向です。 部屋に入って、ざっと見回すと、今年の3月30日に「大丸ミュージアム・心斎橋」で見た「横山大観と近代日本画の名品展」で展示してあったものと同じものが多いように思いました。 これは「がっかり」ではなくて、「おおっ!」という感じです。 大丸での展覧会は、信じられないくらいの逸品ぞろいで、「足立美術館に行っても一度にこれだけも見られないぞ」という内容だったからです。 前回の記憶があるうちに再び見ると、印象もはっきりするはずです。 最初は竹内栖鳳から始まります。 その2番めにあった絵が、大丸での展覧会で初めて知って、とても印象に残った絵、『爐邊(ろべ)』でした。 (3月30日の日記には簡体字で「炉辺」と書きました。) 竹内栖鳳 『爐邊』 解説パネルを見るまでもなく、絵を一瞥しただけでこみ上げてくる熱い感動・・・。 (以下、私が学芸員になったつもりで解説を・・・。(^-^;)) 奥の犬は体を洗い終わって濡れた状態で爐(ろ)に当たっている。 爐は描かれていないが、手前に火箸があることでわかる。炭のかけらも転がっている。 一方、手前の犬はまだ体を洗ってもらっていない。 「早く洗ってほしいな」という感じではなく、「僕もあんなふうにびちゃびちゃにされるの・・・?」という子犬らしい不安げな様子がなんともかわいい。 描かれていないものからもいろいろなことを読み取り、感じ取ることが要求される日本画。 爐は描かれていないものの、画面のすぐ外にあることは間違いなく、その爐で暖を取る2匹の子犬。 冬のありふれた、それでいて平和なひと時を描いた作品である。 ここに描かれた犬を見ていると、周りを見て、「本物の犬がいないかなぁ? いたら、‘よしよし’したいなぁ・・・」と思いました。 目に涙を浮かべたまま、‘じ~っと’穴が開くほど絵に見入っていました。 そのとき、またさっきの2人が来ました。 「絵を見てるどころではないなぁ。適当に見て出るか」という声が聞こえて、私を追い越して行きました。 ‘・・・お願いです、さっさと行ってください’と祈りました。(笑) 川合玉堂の『春雨』。 この絵も大丸で見ています。 私はこの絵よりも、同じ風景で秋を描いた『彩雨』のほうが好きです。 ・・・春の絵はどうも苦手。。。 横山大観の『冬之夕(ふゆのゆうべ)』という絵は『浅春』『夏之夜』『晩秋』との「四季花鳥シリーズ」の1点ですが、それぞれの季節で1日のうちいちばんいい時間帯だと思って描いてあるのが、『枕草子』の各時間と同じものもあるし、違うものもあって、当然のことながら人によって「いい」と感じるものは異なるんだな、と思いました。 ・・・ちなみに、私は「春は夕方」「夏は昼下がり」「秋は昼前」「冬は朝」が好きです。(^-^;) 誰も聞いていませんよね、こんなこと。。。 おそらく足立美術館の所蔵品の中ではいちばん年代が新しい作品と思われる平山郁夫の『祇園精舎』は、人物の顔はぼかしてあるだけだと思ったのですが、ひとりひとりちゃんと描いてあったのには少し驚きました。 上村松園の『娘深雪』。 松園の絵はいろいろなところで何度も見ており、3回見たことがあるものも珍しくないのですが、この絵は初めてです。 ただ、松園の絵の中では好きな部類ではありません。 個人的にはもう少しあとの‘脂の乗った’頃の作品が好きです。 その意味では隣に展示してあった『牡丹雪』は好きな作品です。 ただ、この絵も3月に大丸でじっくりと見ているので、初対面の感激はありませんでした。 大胆に空白が取ってあり、そこに降る雪の粒の重量感が何とも言えない作品です。 ほかにも、伊藤深水や榊原紫峰、川端龍子、橋本関雪、村上華岳らの作品がありました。 これらも半分以上は3月に大丸ミュージアムで見たものでした。 土田麦僊と安田靫彦の作品がなかったのはちょっと残念でしたが、思ったより大作ぞろいで、満足できました。 出口に「投票箱」があったので、迷わず、竹内栖鳳の『爐邊』に1票を投じました。 小展示室と大展示室で1時間10分。 だいたい予定どおりの時間で見終わりました。 (続く) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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> 好きな絵の前では一瞬時がとまったかのように金縛りにあったように動けなくなりますよね 最近、すべての絵をそれなりにじっくりと見るようになってしまって、逆に、1つの絵の前に立ち尽くすことが少なくなってしまったような気がします。 特に、今回のように、人が次々に来る展示場では、‘独占’するわけにもいかないし・・・。<BR><BR> (2007年09月02日 23時18分10秒) |