「腹が立つ」ことを「むかつく」と言う人が、
今や国民の半数を超えているのだそうです。
文化庁が発表した「国語に関する世論調査」の結果だそうで、
これでいいのだろうか・・という印象。
「ゆっくり、のんびりする」ことを「まったりする」
と表現する人が30%、「しっかり、たくさん食べる」ことを
「がっつり食べる」と言う人は、21%、
「中途半端でない」ことを「半端ない」と言う人は、20%だそうで、
「半端ない」はどうせ、一過性だろうし、
まったりもがっつりも、ま、いいかなって気がするのですが、
どうにも引っかかるのが「むかつく」ですかね。
そもそも、響きに、品が無いではないですか。
むかつく、って、胸焼けや吐き気をもよおすことだと、
子どもの頃は思っていましたが、調べてみると、
関西などでは、江戸時代から「腹が立つ」という意味で
使われていたのだそうですね。
1970年代後半のツッパリブーム時になって、不良達が、
自分たちの自由や思惑の邪魔になる者を対象に、
「癇に障る、腹が立つ」の意味で全国的に使うようになり、
1980年代に入って世代・エリアを超え、広く浸透していったのだそうです。
吉本の芸人さん達が、よく使っていましたよね。
そういうことで、より広まったのでありましょう。
それはともかく、「むかつく」は「怒り方」の質が、
若干違うのだと思うんですね。
例えば、「あいつ、むかつく」と、いじめをすることはあっても、
いじめをする卑怯者に対して「むかつく」
と言って怒らないじゃないですか。
「むかつく」という言葉に内奥されるものは、
「なんか、気に入らない」「癪に障る」ぐらいの
しっかりした根拠のない気持ちであり、
正義のために怒る、あってはいけないことに対して立ちあがる、
的な真正面から対応しようとする心意気、正義感、
そんなものが、感じられない・・のでありますねぇ。
例えば、世界で起こっている、罪なき人への虐殺は、
「むかつく」ことではなく、「きちんと腹を立てる」ことであって、
「むかつく」という言葉で表現してもらいたくない。
韓国との問題も、中国との問題も、「むかつく」気持ちじゃ、
解決には至らないだろうと思うわけでして・・。
つまり、みんなが「むかつく」を使う世の中って、
大事な感情が、欠落しかけいるような気がして・・
なんだか、心配になるのでありますが。
考え過ぎでしょうかねぇ。