「おもかげ」浅田次郎
「出版社の内容紹介」
忘れなければ、生きていけなかった。
浅田文学の新たなる傑作、誕生――。
定年の日に倒れた男の〈幸福〉とは。
心揺さぶる、愛と真実の物語。
商社マンとして定年を迎えた竹脇正一は、送別会の帰りに地下鉄の車内で倒れ、集中治療室に運びこまれた。
今や社長となった同期の嘆き、妻や娘婿の心配、幼なじみらの思いをよそに、竹脇の意識は戻らない。
一方で、竹脇本人はベッドに横たわる自分の体を横目に、奇妙な体験を重ねていた。
やがて、自らの過去を彷徨う竹脇の目に映ったものは――。
「同じ教室に、同じアルバイトの中に、同じ職場に、同じ地下鉄で通勤していた人の中に、彼はいたのだと思う」(浅田次郎)
図書館に行って、彼の著書をみるとつい借りてきてしまう。
ここに登場する主人公や登場人物たちは、私とほぼ同世代かそれよりも年上。
ついつい自分自身の体験と重ねる部分も多く、
また同世代たちがそれぞれの地域で育ち、
生きてきた人生を思い浮かべやすいこともあり、
ひきこまれて二晩で読んだ。(日中はやることがあって読めなかった)
浅田次郎氏はこのような作品を書いたらピカイチだと思う。
浅田次郎氏は地下鉄が好きなようだ。彼にも地下鉄にまつわる思い出があるのかな。
その思い出のいくつかは、この作品に潜ませているに違いない。