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テーマ:戦争と人間(175)
カテゴリ:読書
「アウシュヴィッツのお針子」ルーシー・アドリントン 著/宇丹貴代実 (翻訳)
絶滅収容所のファッションサロンをめぐる、 衝撃と感動の実話!! ナチス幹部家族らの服を仕立てることで、地獄を生き延びたユダヤ人女性たちがいた。 針と糸、そして強い友情の絆で抵抗した、不屈の物語。 「とうてい信じられない話でしょう? 不屈の囚われ人の一団が、ヘス夫人をはじめ、ナチス親衛隊の妻たちのために 型紙を起こし、布を裁断して縫いあわせ、装飾をつけて、 美しい衣服を作っていた。 まさに自分たちを劣等人種として蔑む人々のために。 アウシュヴィッツのサロンのお針子たちにとって、 縫うことはガス室と焼却炉から逃れる手段だったのだ」(本文より) ホロコースト関係の本は結構読んでいる方だと思うが、このような視点で書かれたものは初めてのような気がする。 人間というものは、状況によりかくも残酷になれるのかということは、現在のウクライナのニュースでもよく感じるものだ。 そしてまた、どれほどの悲惨で地獄のような状況でも、人間らしさを失わずに前向きになれる人もいる。 読んでいると辛くなり、なかなか読み進めなかったのだが、図書館の返却期限が迫って頑張って最後まで読んだ。 彼女たちが生き延びることが出来たのは、洋裁の技術と、戦前の絆と友情と信頼 そして自分たちではどうしようもない「運」であった。 しかし、運よくアウシュヴィッツから解放されたとしても、その後また過酷な日々が続いている。 故郷に戻ってもユダヤ人に対する偏見や忌避感がすぐに解消されるはずもなく、 かつての住居は他人のものとなっていて、新たに生きる場所を見つけなくてはならない。 そんなことをわが身のこととして無理やり想像したなら、二度三度と絶望感に陥るだろうし、 収容所生活で心身に病を得ていることは多い。 さらに、過酷な体験でのPTSDに不断に苦しめられる。 その体験は、同じ体験をした人同士では理解されるはずもなく、子どもや孫にも何も言わなかった人もいる。 戦争というものは、本当に残酷なものだとあらためて思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023年03月28日 15時40分50秒
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