「夢をかなえるゾウ」を知っていますか?
そうです。
あなたの夢をかなえる方法論を面白おかしく説く、自己啓発系のエンタメ小説です。
ご存じと思いますが、タイトルの「夢をかなえるゾウ」というのは、ゾウの姿をしたガネーシャという神様。
関西弁でしゃべる、食いしん坊で自己顕示欲の強い神様です。
先月、なんと久しぶりに第4弾が出て、びっくりしました。
今回も楽しく読ませてもらいました。
『夢をかなえるゾウ4 ガネーシャと死神』
(水野敬也、文響社、2020/7、税別1580円)
さすが期待を裏切らない!
今回はこれまでと少し違って「死」と向き合うことがテーマです。
「死」を想うことで、「生」を考えることにも通じる。
広範な知識が随所に織り込まれ、エンターテインメント小説でありながら、深い。
オビには、「自分、今の生き方やったら
死ぬときめっちゃ後悔するで。」とあります。
「死ぬときに後悔しないように」というのは、僕が数年前に大病を診断されたとき、非常に痛切に感じたことです。
命は、有限であり、生きられる時間は、限られています。
後悔しない生き方を考える上で、非常に有益な参考書になると思います。
その中で特に印象に残ったのは、「他者の欠点を受け入れる姿勢を持つ」(p326)ということ。
これはガネーシャが出す数々の課題の一つ。
物語のかなり後の方になります。
その課題が出される2ページ前に、
「完璧な状態を望めば望むだけ、完璧やないことにイライラしたり、苦しむことになるわな。
たとえば、完璧な美しさを望んどる人は、顔にできた小っさなできものがめちゃめちゃ気になって何も手につかんくなったりするもんやろ」(p324)
という、ガネーシャの台詞があります。
僕は、これ、非常によく分かります。
身に覚えがありすぎて、身もだえしました。
ガネーシャの説明は、いつもながら、わかりやすさ抜群です。
頭の中にすぐイメージが浮かび、「うん、うん」とうなづいてしまいます。
その後、ガネーシャの提案が3つ出てきますが、そのうちの1つが、
「見る場所を変える」というもの。
「欠点があるちゅうことは、その欠点が支えてる長所が必ずあんねん。
せやから、その長所にも目を向けるようにしてみいや」(p328)
という助言が続きます。
これって、子どもたちに関わる大人にも、言えることですよね。
つい、嫌なことやできていないことが目について、イライラしてしまうことが多かっただけに、大いに反省させられました。
欠点よりも長所に目を向ける。
自分に対しても、相手に対しても。
すべては考え方次第であり、イライラしてしまうのは自分の見方がそうなっているからだ、と思いました。
非常に大事にしたい哲学です。