つやのよる 井上荒野
つやのよる価格:1,575円(税込、送料別)作者:井上荒野ある島にする「艶」という女の危篤の知らせ。奔放で、勝手で、謎の女。この女性とかかわりがあったらしい男たちと、それに関係する女の物語。艶の視点や、艶の描写はほとんどなく、語り手がどんどん変わっていく連作小説。艶の視点がないのがちょっともどかしい感じがしたけれど、井上荒野らしく、大人な小説だった。女性の視点からみた、ちょっとだめな男たち。弱かったり、だらしなかったり、ずるかったり、振り回されたり。社会で生きている上では「まとも」に見える男性も、女性とのかかわりでそのダメさ加減が浮き彫りになってくる。どの小説も短編小説として独立しているけれど、どれも、どこにも着地しない感じ。でもそれが人間関係。それが人生。井上荒野って、中年クライシスみたいな感じを本当にうまく表現すると思う。若すぎず、年寄りすぎない人間像が描かれています。夫と、恋人と、父と、関係のあったらしい奔放な謎の女の危篤の知らせをきっかけに、自分の男を見つめ直す女たち