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2005年02月15日
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テーマ:法律(494)
カテゴリ:憲法

憲法判例編 第1章 外国人の人権について2

今日も外国人の人権についてです。
外国人は、再入国する権利はあるんでしょうか。

外国人は自由に日本国に入ってきているように見えます。
しかし、そもそも、外国人には入国する権利と言うのが保障されているわけではありません。
条文もありませんし、誰でも入国できるとしたらテロリストなども入国自由となり、危険なことこの上ありません。
あくまで、日本が許可するからこそ、外国人は日本に入国できるのです。

では、一旦入国した外国人はどうでしょうか。
一旦入国すると次の条文が適用されるような気がします。

第二十二条
○2  何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

外国人が一旦本国に里帰りする権利は、「外国に移住」する権利として保障されるのでは無いでしょうか。
そこで、最高裁判所はこのような判断をしました。

「外国人は、憲法上外国へ一時旅行する自由を保障されているものではない。したがって、外国人の再入国の自由は憲法22条により保障されない。(森川キャサリーン事件・最判平成4年11月16日)」

つまり、一旦入国が許可されても、必ずしももう一度入国できるわけではないということです。考えてみれば普通のことかもしれません。その人の事情は日々変化するのですから、入国できるか否かは
そのたびに判断されなくては困ります。

さて、外国人に選挙権はあるのでしょうか。
まず、国会議員の選挙権は無いと考えられます(最判平成5年2月26日)。
それは、前文(「ここに主権が国民に存することを宣言し」)で示される国民主権原理に反するからです。
国民主権とは、日本国のことは、日本人が決めるという意味ですから、この結論に異論は無いでしょう。例えば、外国人が外務大臣となって外国に有利で日本国に不利な外交をされては困ります。

では、地方公共団体(地方自治体)の選挙権はどうでしょうか。
地方自治体もまた日本国の一部と考えればやはり外国人に選挙権は無い物とも思われます。しかし、地方公共団体は憲法93条で「住民」に選挙権が認められています。

第九十三条  地方公共団体には、法律の定めるところにより、
その議事機関として議会を設置する。
○2  地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。

ということは、国籍関係なく、住民全てに選挙権を与えても良いのではないかという解釈も十分取りうるのです。
そこで、最高裁は次のような判断をしました。

「公務員を選定罷免する権利を保障した憲法15条1項の規定は、権利の性質上日本国民のみをその対象とする。憲法93条2項にいう住民とは地方公共団体の区域内に住居を有する日本国民を意味する。しかしながら、・・・永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に密接な関係をもつに至ったと認められる者に
ついて法律をもって・・・選挙権を付与する措置を講ずることは、
憲法上禁止されている物ではない(最判平成7年2月28日)」

つまり、「住民」とは日本国民をさすけど、法律で外国人に選挙権を与えてもいいと言っているのです。結局、憲法から直接選挙権を認めるわけには行かないけど、法律でちゃんと手続を定めるなら外国人に選挙権を与えてもいいとしたのです。
これにより、外国人に地方公共団体での選挙権を与える法律をつくろうという動きがあるようです。

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最終更新日  2005年02月15日 00時23分33秒



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