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2008年01月25日
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カテゴリ:家庭教師


私は、法律関係の仕事のみならず、いわゆる直接契約の家庭教師もしております。
その際に気づくのは、たいていの方が家庭教師派遣業者で何らかの不愉快な目に遭っていると言うことです。
それで、家庭教師派遣業者に懲りてしまい、私のような直接契約の家庭教師にたどり着くと言うパターンをたどってらっしゃるとのことです。

特にもめるのは、解約時のようです。
もちろん、契約書に解約の手続が適正に定めてあって、契約書通りに解約が進めば良いのですが、契約書の内容が不適正であったり、契約書とは違った解約手続をとられてしまうこともあると聞きます。解約時に私がいれば、何とかして差し上げられたのに…と思うこともしばしばです。

しかし、家庭教師派遣の解約は、特商法(特定商取引に関する法律)で規定があります。
特商法の規定に反する解約には応じる必要がありません。
そこで、今日は特商法に基づく家庭教師派遣の解約方法を申し上げます。

まず、特商法が適用される家庭教師派遣には一定の条件があります。
と言っても、条件と言うのは支払う額が5万円以上で、契約期間が2ヶ月以上の場合ですから(特商法41条1項1号、同施行令11条1項、同別表別表第五の第一欄、同施行令11条2項)、ほとんどの場合は当てはまるでしょう。
結局、「夏休み集中」とか、「3回限定」とか、「1回お試し」等のごく限定された場合には適用されないと思っていただければ良いでしょう。
(以下、本日の記事における家庭教師・家庭教師派遣とは、特商法が適用されるものを指すものとします)

さて、特商法が適用される場合には、解約はどうなるのでしょうか。
まず、契約書を交わしてから8日以内であれば、クーリングオフが出来ます(特商法48条1項)。
ただ、家庭教師を解約するのは普通、1回は家庭教師が来てからであって、8日は経過しているでしょうから、クーリングオフだけでは不十分です。

そこで、8日を経過しても一方的に解除が出来ます。
まあ、解除にすら応じない家庭教師派遣業者はほとんど無く、もめるのは解約金についてです。
なので、解約金についても規定があります。

初期費用(2万円を上限)(特商法49条2項1号ロ・同別表5の三)

5万円又は1ヶ月分の月謝のうちのいずれか低い額(特商法49条2項1号ロ・同別表5の三)

既に授業を受けた分の月謝(特商法49条2項1号イ)

たいていは、既に授業を受けた分の月謝は支払済みだと思うので、どんなに高くても7万円が上限だということになります。


教材販売の無い家庭教師の解約については以上で話は終わりです。

ただ、教材販売が有る場合、家庭教師自体の派遣よりも、販売された教材の解約で揉めることが多いようです。
ですから、教材についても同時に解約することが出来ます(特商法48条2項本文)。
では、どの程度返金されるのでしょうか。条文は以下の通りになっています。

特商法49条
6  関連商品の販売を行つた者は、前項の規定により関連商品販売契約が解除されたときは、損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても、次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の金銭の支払を特定継続的役務提供受領者等に対して請求することができない。

一  当該関連商品が返還された場合 
当該関連商品の通常の使用料に相当する額(当該関連商品の販売価格に相当する額から当該関連商品の返還されたときにおける価額を控除した額が通常の使用料に相当する額を超えるときは、その額)

二  当該関連商品が返還されない場合
当該関連商品の販売価格に相当する額

三  当該契約の解除が当該関連商品の引渡し前である場合 
契約の締結及び履行のために通常要する費用の額


大抵は、契約解除と同時に教材も返還しますから、適用されるのは49条6項1号です。
(ちなみに、返還しない場合には2号が適用され、教材については返金されません)

ということは、通常の使用料分は返金されないということになります。
例えば、教材が本の場合、書きこんだらそれで使用したことになりますから、書き込んでしまった本の分はは一切返金されない可能性が高いと言わざるを得ません。(ただ、ルーズリーフ形式の場合は、使用したページ数に応じた返金を交渉する余地があるかも知れません。)

ただ、未使用であれば未使用の分については「通常の使用料」が発生しませんので、「使用した教材と未使用の教材はセットなので全てについて返金には応じられない」というのは認められないことになります。

以上から、教材販売を伴った家庭教師派遣契約を解約したい場合、返ってこない額は以下の通りです。

初期費用(2万円を上限)(特商法49条2項1号ロ・同別表5の三)

5万円又は1ヶ月分の月謝のうちのいずれか低い額(特商法49条2項1号ロ・同別表5の三)

既に授業を受けた分の月謝(特商法49条2項1号イ)

教材の通常の使用料(特商法49条6項1号)


ということで、支払った額から以上の額を引いた額が返金されるということです。

そして、この額は強行規定であり、たとえ契約書でこれ以上の額が定められていても、守る必要はありませんし(特商法49条2項柱書・6項柱書)、解約についてお客の側に不利な規定も無効となります(特商法48条8項)。

つまり、業者が勝手に「違約金30万円」などと契約書に定めていても、守る必要は無いということです。

このように、必ずしも業者の言いなりになる必要はありません。
特商法を活用して、上手に解約しましょう!
また、解約で揉めてしまった場合には国民生活センターが皆様の味方になってくれます。
遠慮なく相談してみてください。



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最終更新日  2008年01月25日 10時35分21秒



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