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カテゴリ:店舗
京の町には昔ながらの町屋だけでなく、大正、昭和に建てられた洋風ビルも それなりの風情で残っています。そんなひとつ。タイル張りの重厚なビルが 以前から気になっていました。店先には北京料理の宴会コースしか掲示が なく。単品料理があるのかどうかもわからない。 知らぬ者は来るなと言わんばかりの素っ気無さ。 昼過ぎに通りかかると、小さな紙に昼の定食1600円からというのと麺類千円 と書かれているのを見つけてよっしゃ、と中へ。 黒光りする建具の薄暗い玄関間を通り抜け、奥の間に出ると店の人がご予約 ですかと聞く。いいやと言うと、用意が出来るまでこちらでお待ちください と中庭のソファを示される。しばらくあたりを伺うと、ここは坪庭だったよう で、雲竜の墨絵のある黒タイルの間だ。奥の間や厨房は暗くてよく見えない。 凝った建具や中国風調度品と陰影の強い照明で、なにやら映画に出て来そうな 幕末の和・漢折衷の料理店のよう。 支度が出来たと案内された表の間は椅子席で、客が3組だけ、待たされたのは 何だったんだと不審に思った。しかし、注文とサービスのために隅に控える 女性、料理を運ぶ男性、サービスの肉マンなど、ホテルのようなこのもったい ぶったもてなしがなんとも心地よく、1杯のあっさりしたラーメンでもこうし て味わうのも悪くないと思った次第。 後で調べると元呉服屋だった建物だそうで、一面に連なる書書きの板戸、金箔 貼りの花鳥図、大窓のステンドグラス、格天井にシャンデリア、そして調度品 がなかなかの雰囲気をかもし出している。 食後、トイレに行くフリをして店内を散策すると、表の間に続いて厨房と待合、 その奥が座敷となっている。大きな庭園に面しているこの座敷は床の間がある のに椅子席。なんだかグラバーやら岩崎弥太郎やらが座っていそうな雰囲気。 座敷まで靴のままで歩くようになっているのが、どうにも失礼に思えてたまらん。 このお店は「膳處漢(ぜぜかん)」といい、「紅虎餃子房」を全国展開する際 コーポレーションの経営だそうだ。錦小路市場の西口からまだ西に3-4町先 にあります。京の和風に飽きたらこんなこってりした空間も面白いかも。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010/11/29 10:41:55 PM
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