道具を育てる “薩摩つげ櫛”
本日の関東地方の突然の雷雨は、凄かったですね^^;北の方から突如として、真っ黒な雲があれよあれよと広がってきたのを見て、これはいかん!と、外に出していた洗濯物を取り込みに、買い物の途中で戻ってしまいましたです。マレーシアに居た頃は、空気の匂いで数時間後の雨が、アメダス並に解ったのですが、そんな鼻レーダーも、今ではさっぱりで御座いまして、途中で晴れ間が射すと、全く利かなくなって居りました(T_T)こんばんは、ご無沙汰しております。実家から更新の、かるかんで御座います。お盆休みに合わせて、帰省なさる方も多いかと思いますが、自分は急遽、母の具合が、今ひとつ良くない事も有りまして、一足早めの“実家帰り”を致して居りました。まぁ、普段通りの帰省であっても、実家と自宅とは、電車で2時間の距離なので、旅をしたとまではいかず、また、実家に戻れば戻ったなりに、“お客様”と云う訳には参りませんので、『お前が来たら遣って貰おうと思って…』と云う繕い物から始まり、植木の剪定やら庭の手入れやら、床磨きに、各所の修繕、日々の雑用と、のんびり夏休みと云う訳にもいかないので御座いますが・・・^^;そんな合間に、昨晩は、妹から頼まれた“つげ櫛の手入れ”をして居りました。 薩摩つげ櫛 上:妹用 荒櫛 5寸 約15cm 下:自分用 荒櫛 5.5寸 約16.5cm このつげ櫛、元々は2年ほど前に、 母が、髪の長い妹に贈った1本だけだったのですが、 お酒に関する武勇伝を、多数所持する妹が、 一昨年の冬、 飲んだ拍子に、何処に置き忘れてしまいまして、 八方探しても見付からず、 母にバレないよう秘密裏に、 同じ店で買い求めたものでして・・・。その後、飲み屋さんから、つげ櫛を取り置いてあると連絡が入り、新しい方が、自分の処に廻って来たので御座いました。2本の大きさが微妙に違うのは、「確か、この位の長さだった気がする」と云う、彼女の曖昧な記憶の為でして、同じ模様の櫛のケースは、残念ながら無かったのだそうです。そんな経緯も有り、それ以来、2本の“つげ櫛”の手入れは、自分の担当となって居りました。とは申しましても、これと云って専門的な手入れではなく、極々普通の、こんな感じなので御座いますが^^; まずは、櫛に付いた汚れを落とします。 最初の頃は、 数十本束ねた木綿糸を、櫛の歯に当て梳き、 汚れ落としをして居たのですが、 数本の歯の間に、いっぺんに木綿糸束を通すと、 思いの外、歯に力が掛かり、折れてしまうような気が致しまして、 今は、糸とティッシュペーパー、 それに歯ブラシや楊枝を使って、 一本ずつ、歯を磨くようにしています。 あらかた汚れが落ちたらば、今度は、 椿油を化粧用のコットンで、歯の間を含め全体に薄く塗ります。 1度目の椿油で汚れを浮かし、 木肌が油を吸い込む前に、 浮いた汚れと一緒に、この椿油は拭き取ります。 綺麗に汚れが落ちたらば、2度目の椿油を薄く塗ります。 あとは、このまま一日ほど置くだけです。 つげの木肌が、椿油を全て吸い込めば、手入れはお終いです。 上が手入れ前。下が手入れ後の櫛で御座います。 椿油は、 買った当初の使い初めでは、たっぷりと塗りますが、 次からの“手入れ”は、各人のお好み量なのだそうです。 早く飴色にしたければ、椿油に浸しても良いそうです。 自分は、つけ過ぎるのが、余り好きではないので、 木肌が半日位で吸い込める程度しか、塗らないのですが、 それでも、手入れ毎に、 つげ櫛の木肌の色が少し濃くなり、艶が出てきます。何年も使い続けると、次第に良い色になって来ると云う“つげ櫛”。。。。櫛通り、頭皮への刺激が滑らかな事から、髪ケアに良いとのこと。。。。確かに、この櫛を使い始めてから、髪の痛みが少なくなりました。空気が乾燥する時期に髪を梳いても、静電気が起こらないからかも知れません。櫛にうっすらと滲み込んでいる椿油のお陰なのか、髪の艶も、心なしか出てきたような気も致します。また、櫛材として用いられている薩摩柘植は、緻密な上に、固い事で有名でして、少々乱暴にバックに入れて持ち歩いても、折れるような事は無さそうです。手入れ次第では、何十年もの間、歯が欠ける事も磨り減る事も無く、使えそう御座いますよね。そう考えますと、コストパフォーマンス的には、実は、かなりお安く抑えられるのかも知れません^^とは云え、いくら固い材質と謳ってはいても、所詮、“木”で御座いますから、反ったり割れたりしないよう、水濡れ厳禁で御座いまして、洗髪後のタオルドライでは使えなかったり、雨に濡れた髪の整髪には用いれないなど、多少の不便も在るので御座いますが・・・^^;また、マメに手入れをすれば問題は無いのかも?知れないのですが、ムースやスプレーをした髪を梳くのも、櫛が余分な物を吸い込んでしまいそうで、気が引けてしまうので御座います・・・^^;数年前からブームになっている、髪のケアにも、椿油を使って居る方でしたらば、そんな心配は、ないので御座いましょうけれどもね^^ただ・・・・こんな風に、手入れをしながら使い、使えば使っただけ…手を入れれば入れただけ…美しく経年変化をしていく道具と云うのも、なかなか、楽しいもので御座いますよね。全く手入れをしなかったらば、、反ったり、ヒビが入ってしまうのかは解りませんが、道具の調子を見ながら、自分の使いやすいよう手を入れていく・・・・そう云う事が、『道具を育てる』と云う事なので御座いましょうか。高価な道具、廉価道具・・・そんな道具価格の高低に関わらず、気に入った物を、ゆっくりじっくり育ててみると云うのは、その“まどろっこしさ”も含め、案外、楽しいものなのかも知れませんよね^^そんな事を考えながら、手入れの済んだ“つげ櫛”で髪を梳いて居りました、今宵のかるかんで御座いました。