カテゴリ:就業規則
こんばんは。富山県の社労士&わくわくワークプレゼンターのみのっちです。
今日も久々の更新。最近、更新のペースが落ちているな(汗)。書きたいことのストックは大量にあるのだが・・・。 ここのところ、平日は出ずっぱり。というのも、労基署や労働局の調査が私の関与先にもそこそこ入っているからだ。 知っている人は知っていることだが、10から11月は「労働者派遣&業務請負適正化キャンペーン」や「サービス残業撲滅キャンペーン」など厚生労働省関係の調査が厳しくなる時期だ。私の関与先もモロこのあおりを受けているというわけだ。 まぁ、やましいことをやっているわけではないので、「堂々と対応すればいいですよ」とアドバイスしている。もちろん、技術的なアドバイスもするが、どうしても不安だという事業所の調査には立ち会う。明日も朝イチから調査立会いの予定が入っている。やはり、行政が動くと仕事が増えるのは、士業の強みだなぁと実感する。しかし、これもうまく営業につなげなければ、意味はないのだが・・・。 さて、話は変るが、ここのところ立て続けに「休職」に関する相談を受けている。それも、労働者個人からの相談が多い。我が事務所の方針として、労働者からの相談は受けないことにしているが、世話になっている人や関与先の社長の身内の話なんかは立場上聞かざるを得ない。今回の個人からの相談はいずれもその手のルートからのものだ。 念のため説明しておくと、「休職」とは長期療養(欠勤)が必要な病気(ケガ)に罹った従業員をすぐには辞めさせずに、数ヶ月間会社に在籍のまま、治療に専念させ、その期間内に病気が治ったら、職場復帰させ、治らなかったら、退職させるという制度である。 休職はどこの会社でも必ず制度化しなければいけないものではない。いわゆる、法定外の福利厚生措置の部類だ。よって、休職制度がない会社もあるし、また会社によって制度の中身は異なることもある。 もっとも、休職を制度化する場合は、就業規則への記載が法的に義務づけられている。つまり、休職制度がある会社では、制度概要や運用ルールなどは就業規則に必ず記載されているわけだ。ちなみに就業規則の休職に関する条項にはこんなことが書いてある。 ○どんな場合に休職を命じるか? ○休職期間は? ○どのような手順で職場復帰させるか? ○休職期間が終了しても病気が治らないときはどうするか? ○休職期間の給与は支払うか? など 休職制度に関して、裁判所は「就業規則の内容に沿って運用しなさい」という見解を示している。さらに「休職制度が就業規則で認められている以上、それを認めず、すぐ会社を辞めさせるのはダメよ」という判例もある。つまり、休職制度に関する労使間のトラブルは、就業規則の内容に基づいて、どう解決していくか合理的に判断するのが妥当ということだ。 で、以上を踏まえ、私の受けた相談だが、いずれも次のようなことが争点になっている。 1.医師は数ヵ月休めば治るという診断書を出しているのに、会社は休職を認めない 2.会社が就業規則の休職に関する条項を見せようとしない 3.休職制度の運用が就業規則の内容と異なっている 4.いつから休職期間に入っているのか分からない いずれも「さもありなん」という内容だ。休職制度は就業規則の内容に基づき運用するという裁判所の見解から考えると、2や3のような運用は問題外である。 また、1についても、なぜ会社は休職を認めないのか就業規則の内容に沿って、それ相応の理由が必要だと思う。例えば、休職を認めても復帰が望めない場合などがそれに該当するだろう。 このように休職はとてもトラブルになりやすい項目であるにもかかわらず、大部分の企業が適当に運用しているのが実態だ。 病気でただでさえ不安な従業員に対し、いい加減に休職制度を適用すると、トラブルになるのは当たり前だ。相手は、職を失うまいと必死なんだから。そんなことも分からずに1から4のような休職制度の運用を平気で行う会社があるのだから、正直目を覆いたくなるな。 以上、今回は、個人からの相談だが、企業から休職絡みの相談を受けたときは、次のようにアドバイスするようにしている。 ●休職は滅多にないことだが、あればトラブルになる可能性が高い ●制度を設けるなら、就業規則でのリスク回避は必須 ●できることなら、小規模企業は休職制度を設けないのも手(病気で労務不能=解雇) ●休職制度の有無に関わらず、病気で労務不能になったときの人事措置は周知しておく ●以上が面倒なら、社労士(=私)と契約し、都度相談すること(笑) 情をかけられたのに、裏切られると人間は絶望する。だったら、最初から休職制度なんていう情をかけないというのも一つの選択肢だ。もちろん、休職制度を廃止することの人事面のマイナス要素は少なくないし、不利益変更等の法的なリスクもある。その辺を承知の上で、休職制度なんてないほうがいいと思うのなら、廃止するのもひとつだ。 また、就業規則の整備以上に重要なのは、休職制度の有無や制度概要について、日頃から周知徹底することだ。周知徹底さえしておけば、いざというときに従業員は「うちの会社は、そんなもんなんだぁ」と渋々でも理解するだろうし、またトラブルに発展する余地もなくなる。 休職のトラブル防止に関しては、自社の制度を日頃から周知させておくこと。これに尽きるだろう。 今回の個人の相談者はどこまで会社と争うつもりなのか分からないが、いずれも会社の運用がまずいケースだけに会社はかなり不利になるだろうなぁと思っている(汗)。なお、いずれの会社も県外企業で顧問社労士はいない会社のようだ(苦笑)。 ミノワ社会保険労務士事務所HP よろしければどうぞ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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