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テーマ:会社・職場 悲喜こもごも(8)
カテゴリ:コーチング・コミュニケーション
入社1年目のIくんが、
少し曇った表情で僕のところに来ました。 来週予定のコーチング・セッションを 何とか今週にできないか。 そういう依頼でした。 「何かあったな!?」 臨時にセッションを組みました。 聞けば、指導役の先輩社員から 教わったこともない新しい仕事をこれでもか、 というくらい突然押しつけられて、困惑していました。 彼は、サッカーをこよなく愛すスポーツマン。 精悍な顔立ち、ちょっとやんちゃそうな容姿。 でも、実に繊細な内面性を持っています。 突然の先輩の命令に、二の句も告げられず 強引に話が展開してしまっているようでした。 「このままだと、失敗してしまい、 お客さんに大きな迷惑がかかると思いまして…」 と、つっかえながら言葉を出す彼に、 僕はいとおしさを感じました。 「…そうか。大変だったね、つらかったね。 そして勇気を振り絞って、僕に明かしてくれたんやね。 ありがとうな」 そう言葉をかけると、安堵と悔しさで感極まったのか、 Iくんは涙をボロボロこぼし始めました。 硬派で心優しい彼は、先輩や直属の上司や、 そして僕にも、気軽に相談することをはばかり、 悶々と心を痛めていたのです。 ひとわたり、Iくんの言い分を聞いた僕は、 「よし、じゃ、これからどうしようか。 Iくんはどうなれば良い?」 と声をかけました。 すると彼の口からは、すらすらと自分の希望が出てきました。 ・いきなり割り当てられた大きな仕事を3つから1つに減らしたい ・先輩にお願いしても先輩が困るかもしれないので、 直接、課長に相談する ・今日の夕刻に課長に相談したい 「よし、わかった。 じゃあさ、僕にやって欲しいことがあるとしたら何?」 すると、「課長に相談するときに、同席して欲しい」と。 「ほいきた。おやすいご用!」 果たして、夕方、彼は自分の課長に思いを伝えました。 課長も物わかりの良い人間なので、 「しょーがないなー」と苦笑しながらも、 彼の言い分を肯定しました。何とか一件落着。 そこへ課長宛にお客さんから電話が入り、 僕とIくんが打ち合わせルームに残されました。 「Iくん、この時点で君としてはどう? 思っていたとおりに事が運んだかな?」 「まぁ、全部が叶ったわけではないですけど…。 でも、がんばれます。元気になりました」 「そう、良かったね」 「オレ、コーチングを受けてなかったら、 どうなってたかわかりません。 これがあったから救われました」 「おまえ、嬉しいこと言ってくれるねぇ! コーチングらしいコーチングになってないかもしれないけど、 そういうふうに思ってくれたら、やっている甲斐があるよ」 こっちも感極まって、涙が出てきました。 「コーチングやってます」と言いながらも、 果たして効果があるのかどうか、 正直、半信半疑なところもありました。 でも、今日の一件で確信しました。 「コーチングは、関係性を劇的に変える素質を持っている」と。 部下が辞めずに育つ0から100への誘導法 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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