こんぱすコーチの全方位日記

「まさやん、
東海道新幹線の会社間の境界線はどこになるの？」

勤務先で年配の社員からこんな質問を受けました。



「ん？　どういうことですか？」と僕。

今から約20年前に当時の国鉄が分割民営化され、
JR旅客６社と貨物１社に再編されました。
本州はJR東日本・JR東海・JR西日本と３社に分割、
それぞれエリアの境界が設けられました。

ちなみに、線路が続いているのに
途中から別会社になるなんて、
当時は相当な違和感だったんですが、
ここまで年数が経過すると、
もはや当然のように慣れてしまいましたね。

で、くだんの年配氏。
東海道新幹線もエリアごとに
JR３社間で分割統治していると思い、尋ねてきたわけです。

さしずめ在来線と同じく
「熱海」でJR東日本とJR東海、
「米原」でJR東海とJR西日本で分け合っている、
と考えたのでしょう。

「いや、東海道新幹線は、
東京－新大阪間の全線がJR東海の持ち物です」
「？？？？？どうして？」

「東京から大阪まで通し運転する超高速列車が、
エリアごとに会社をまたぐ構造にしてしまうと、
トラブル等でダイヤが乱れたときの復帰作業が繁雑になります。
そもそも、新幹線は
システム的には『一元管理が前提』で作られてますから、
いたずらに分割統治するとかえって手間がかかるんです」
「それに、本州３社の中で
実は地理的に一番不利なのはJR東海。
首都圏・関西圏はそれなりのボリュームがありますけど
JR東海は、地盤の名古屋圏が意外に小さいですから、
それだけだとたちまち経営が行き詰まる。
なので売上を補完するために、
東海道新幹線は全線をJR東海にくれてやったんです」

そして、結果的には東海道新幹線の利用者が
JR化後に格段に伸び、
JR西日本の収益をはるかに凌駕する規模の
会社になりました。

「そういうわけで、たとえば東京駅は
在来線と東北・上越新幹線周辺はJR東日本の持ち物、
東海道新幹線の周辺はJR東海の持ち物なんですよ」

「へぇ」と年配氏。

「駅構内をそういう目で見ると、
境界が簡単に分かります」

「えっ　そうなの!?」

はい。これが東京駅構内の境界ですよ～。
　床材の色が異なってますよね。


場所を変えて写しました。


上とは逆方向から写してみました。


「あのね、駅長さんも２人いるんですよ。
JR東日本の東京駅長とJR東海の東京駅長が」

「えー、どうして？　もったいない」

「いや、そーいうことではなくて
小田急新宿駅と京王新宿駅は隣り合ってますけど、
駅長さんは１人ですか？
そんなわけないですよね。会社が違いますから」

東海道新幹線の所有に、東京駅構内の境界線。
果ては東京駅の駅長さんの数。
鉄ちゃんにしてみれば、常識問題なのですが、
一般の方にとっては意外なトリビアでした～