カテゴリ:読書
結城五郎の「心室細動」を読んだ。
第15回サントリーミステリー大賞受賞作。 (この記事はネタバレあり) 主人公である上原は内科の大学教授。 アレルギーの研究で成果があり、次の教授が確実視されている。 だが彼には人に言えない医療ミスという過去があった。 この小説、医療過誤をテーマにしたミステリー。 作者の結城五郎は千葉大学医学部を出た。 そのため、医療に関する記述は考えさせられる部分が多い。 当たり前だが医師は人間だ。 機械でもなく、もちろん神様でもない。 時にミスをするし、医師は医師をかばうこともある。 医師にも背景がある。 病院がまだ3年目と新しかったら。 理事長が国会議員を目指していたとしたら。 ミスをした看護師と医師に大きな期待が寄せられていたとしたら。 死んでいる患者を生きていることにするかもしれない。 遺体に向かって必死に治療しているように演技するかもしれない。 フィクションにしても上原はひどい。 秘密を共有した看護婦が白血病で生命の危機。 にもかかわらず、病院へ見舞いにも行かない。 この作品に疑問点があるとすれば。 ストーリーにいろいろ詰め込みすぎ。 人があれだけ死ぬ必要があったのか? 探偵が院長婦人の死について上原に話すのはおかしい。 いくら多忙な大学教授でも、かつて勤務した病院の院長婦人については情報が入る。 せっかく教授になった上原が終盤、家に侵入するのも解せない。 脅迫者に大金を払い、手に入れた教授の座が危うくなるマネをするだろうか? 医師がその気になれば、完全犯罪が可能。 それをこの小説は証明して見せた。 上に書いたように、結城の出身大学は千葉大。 千葉大医学部と言えば、「チーム・バチスタの栄光」の海堂尊がいる。 解剖がしにくい現状で、Ai(オートプシー・イメージング)普及を目指す海堂。 同じ千葉大でなくても、海堂はこの作品を読んでいるはず。 海堂の作品に、この小説が大きく影響しているのかもしれない。 ※トラックバックは管理人が承認した後に表示されます。 バナーにクリック願います。 ***トラックバックはテーマに関係するもののみどうぞ。 その場合リンクは必要とはしません。 意見があればメッセージでどうぞ。 ただし荒らしと挨拶できない人はお断りです。 今のところメッセージは全て読んでいます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.05.22 21:23:28
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