自分のために
女優の山本陽子さんが急性心不全で亡くなられた。2月2日に放映された「徹子の部屋」で元気な様子を観たばかりだったのでびっくりした。81歳とは思えないほどきれいでお元気そうだった。正月明けには歌手の八代亜紀さんが膠原病で亡くなられた。まだ73歳だった。この年になると自分より年下で同世代の人が亡くなることには衝撃を受けてしまう。だんだんと高齢化が進み、今や100歳を生きるための心得えや、85歳まで加入することができる保険があるという、信じられないようなコマーシャルが毎日のようにテレビで流されている。加入する人はいるのだろうかと思うが、テレビで宣伝できるくらいだから、費用対効果はあるのだろう。 想定外の後期高齢者になってしまった私は、自分の暮らしを支えるだけで精いっぱいで誰の役にも立てずにいる自分の存在を持て余している。75年間、今も自力で生活できるくらい元気に生き延びてこれたことに感謝しつつも、70歳を過ぎた時点から「これからは順番通りではない」という思いを抱くようになった。70歳の時に同窓会をした後、コロナ禍もあり生まれ故郷の大阪にも行かなくなったが、3月3日には89歳になる従妹のために去年の秋から3回も相模湖と大阪を行き来した。5年ぶりに同窓会のお誘いの手紙が届いたが、この5年の間にとても仲良しだった2人の同級生(男性)が亡くなっている。前回大阪へ行った時に、仲良しの女子(ばぁさん)が集まったことと、娘が私が行きたがっていた葉加瀬太郎のバイオリンコンサートのチケットを取ってくれた日が重なったので今回は参加しないことにした。 75歳を過ぎた頃から、残された時間を自分のために機嫌よく生きていくように心がけ、少しでも嫌なことを思い出したら、すぐに頭を切り替えることにしている。過去の嫌なことは忘れてしまうしかない。 もうずいぶん前から自分なりの終活準備はしているし、健康には気を使っていて、今のところ歯科以外は医療費を使っていない。残された時間はどれくらいあるかはわからないが、自分が機嫌よく生きるために手を抜きたくない。朝起きてコーヒーを淹れ、たった3分くらいしかかからないが化粧をし、最近はできるだけ明るい色彩の洋服を選び、自分の食べたいものを時間をかけて作る。今日は長らく棚に置きっぱなしになっていた香水・ココシャネルの一滴を楽しんでいる。ちょっと贅沢な気分である。