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横浜市磯子区「できた♪が見える」さくらピアノ教室

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2015.05.08
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第八回★痩せて見られたいの? それとも痩せたいの?


子どものピアノで困ったら.jpg


皆さんこんにちは。横浜市でピアノ指導&コーチをしております、林美紀です。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。

この記事は、「お子さんのピアノをやめさせようか悩んでいる親御さん向け」の連載、第八回です。

総合目次はコチラです。


前回の記事では→「ピアノと受験勉強は両立できる?~受験期こそピアノを続けよう~」についてお話させていただきました。

まだお読みでない方は、こちらからどうぞ。


今回のテーマは、「痩せて見られたいの? それとも痩せたいの?」です。

ダイエットがピアノと何の関係があるの? と思われたかもしれませんが、暫くお付き合いください。


ダイエットしたい理由って、人によってそれぞれだと思いますが、「ダイエットして、こうなれたらいいな」という最終形態は、つきつめると下記の2つになると思います。

1・痩せて見られたい
2・本当に体重を減らしたい


1は、外見的なことです。「痩せるに越したことはないけれど、キツイ運動や食事制限をするくらいなら、補正下着や着こなしなどで痩せて見えればいい」という気持ちが大きい場合。

2は、単にシルエットが整った、というだけでなく、痩せる過程で得たものをメリットにする場合。コレステロール値が下がった、内臓脂肪が減った、ひざ痛が治った、体力がついた、ダイエットを頑張ったことで自分に自信がついたなどです。


ここで、ピアノの話に戻ります。

上記のダイエットの話を、仮に、ピアノにあてはめてみると……


1の「痩せて見られたい」は→「弾きたい曲が弾けるようになりたい」

「その曲を弾くのに必要なスキルはないけれど、がんばって練習してなんとか弾けるようになる」という状態だと定義します。

ピアノを全く習っていない子が、どうしても弾きたい曲1曲だけレッスンする、というケースもありますが、今回は除外します。

継続的にピアノを習っている場合でも、こういう事態は発生します。

普段の基礎練習を嫌がり、好きな曲だけ張り切って練習する、という状態です。基礎練習というのはテクニック練習だけではなく、読譜のための教本も含みます。

発表会のときだけ、普段の自分のレベルよりもかなり上の曲に挑戦し、なんとか聞かせられるレベルにもっていく。その繰り返しです。

基礎がないので、曲を仕上げるのにかなり大変ですし、完成度も低い。でも、なんとか曲としては最後まで通して弾けているので満足。

なんだか、最初のダイエットの「痩せて見えればいい」に似ていると思いませんか?



一方で、2の「体重を減らしたい」は→「ピアノの基礎を身につけ、好きな曲が素敵に弾けるようになりたい」

段階を踏んで、きちんと基礎を学習していき、長い時間をかけてピアノの基礎を身につけ、時間はかかるけれども、最終的には弾きたい曲を自分の力で素敵に弾くことができる状態だと定義します。

ダイエットでいうと、食生活や生活リズムを整え、運動もし、長い時間かけて体重を落とし、見た目がスリムになっただけでなく、疲れない、太りにくい、健康な体を手にした、という状態ですね。



好きな曲だけ弾けるようになる、というのが悪いことだとは思っていません。
究極的には、弾きたい曲を弾けるようになることが、ピアノを弾ける醍醐味だからです。

それでも、どうしてこのようなお話をするのかというと……

習う側と、教える側のギャップが、時には「ピアノをやめたい」につながるのではないかと思うからです。

習う側のお子さんは、「ピアノが弾けるようになる」までの過程に、「習っていればいつの間にか好きな曲、弾きたい曲が弾けるようになっている」というような、漠然としたイメージしか持てないと思います。初めて取り組むのですから当然ですよね。ピアノ未経験の保護者様も、同じだと思います。

ですので、単調な基礎練習や、知らない曲ばかりの教本を何年も続けることに意味を感じられず、苦痛になってしまいがちです。


一方、多くの先生方は、「弾きたい曲だけ弾けるようにする」ではなく、「最終的には、どんな曲でもきちんと楽譜が読めて、弾きこなすテクニックもあり、その曲を理解して、ふさわしい表現ができる」状態を目指してレッスンしています。

その状態に至るように、基礎から段階を追って、少しずつ実力がつくように進めていきます。



多くの先生方が趣味でピアノを習う方のゴールとして設定しているのが、「ソナタアルバム終了程度」。そこまで修了していれば、クラシックの名曲を弾くための入り口に到達します。

そこに至るまで、5~10年かかりますので、10年計画です。

ピアノの先生は、一人の生徒さんを育てるのに、最初から10年以上お付き合いする心構えでレッスンにあたります。

10年育てていく中で、生徒さんが「きちんと楽譜が読めて、その曲を弾くのに必要なテクニックもあり、その曲を理解して、ふさわしい表現ができる」よう、常に課題を考えています。

生徒さんには「痩せて見られる」のではなく、「本当に痩せて健康になっている・見た目もキレイ」になってほしいと願っています。


ですが、もし、生徒さんが、「本当に体重は落とさなくてもいい。外見上痩せて見えれば……」と思っていたらどうでしょう?

あるいは、最初は本当に痩せたいと思っていたけれど、意外にダイエットが大変なので、いつのまにか「本当に体重は落とさなくてもいい。外見上痩せて見えれば……」という気持ちになっていたとしたら?


習う側と教える側の目的に、大きなギャップが生じてしまいます。

その結果、レッスンが重荷になり、「やめたい……」に繋がっていくかもしれません。


「外見上痩せて見える」ことを目指すのは、悪いことではないと思います。

たとえ完ぺきに弾けていなくても、簡単バージョンであっても、好きな曲、弾きたい曲が弾ける。それは素晴らしいことです。

お母様の思い出の曲をお子さんが弾き、決して流暢な演奏ではなかったけれど「思わず泣きました」というお話も伺ったことがあります。

普段の練習はぜんぜんしないけれど、好きな曲の楽譜を自分で買って、何となく音を拾って弾いている時間がすごく楽しい、と言っている子もいます。

その時心が込められていていっしょうけんめいで、自分や周りの人が幸せならば、じゅうぶんピアノを習っていた価値があると思います。

また、基本の教本を全くやらずに、好きな曲だけでレッスンをすすめたほうが、効果が上がるタイプの生徒さんもいます。

好きな曲を弾いていった結果ピアノが大好きになり、高学年、あるいは大人になってから、自分で気づいて基礎から勉強しなおすケースもあります。


ただ、ピアノの先生は、刹那的な心地よさだけでなく、「その生徒が一生、弾きたい曲を弾ける力」をつけてほしいと願います。どちらも正解で、間違えではないんですね。

両者の間にギャップのあることが問題なのです。


気持ちよくピアノを続けるには、ギャップがあるのかどうか確認し、意識をすり合せることが必要です。

生徒の側も自分の目指したいものを先生に伝え、先生も生徒に目指してほしい形を伝える。
そして、お互いの想いを両方取り入れたレッスンができるように話し合う。
それが、理想とするレッスンの形ですよね。

「最近ピアノがしんどい」「やめたい」と思ったとき、まず、ピアノの先生に想いを伝えてみてください。

先生がレッスンの方向性を見直してくださるかもしれませんし、ぎゃくに、先生のレッスンに込めた思いに触れ、「もう少しがんばってみようかな」と気持ちを新たにするかもしれません。

「ピアノをやめたい」と思ったら、決断をする前に、ぜひ、先生とコミュニケーションをとってみてください。

そしてピアノの先生は「生徒さんが、楽譜が読めて、その曲が弾けるテクニックがついて、とにかく基礎をしっかり!」と思ってレッスンしていきますが、レッスンを長く継続するには、ときには「痩せて見える」工夫をし、生徒さんに「弾けてる」「楽しい」という実感を持たせてあげることも大切なのかもしれません。

次回はそのようなお話をしたいと思います。

次回は最終回「ピアノが長続きするコツは、何と言っても……」です。


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最終更新日  2015.05.08 09:50:10
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