テーマ:詩&物語の或る風景(1047)
カテゴリ:自然と四季の彩りを楽しむ
入梅となった途端に曇り後晴れ。 昨日までの雨に洗われて、野山の緑が一層鮮やかになり、初夏の日差しに白い花が眩しく感じます。 クリックしてくださると、とっても嬉しいです! 総称して野薔薇(ノバラ)とも呼ばれていますが、正しくは野茨(ノイバラ)です。 野茨は、北海道の一部地域から九州、朝鮮半島に分布する落葉の低木です。 野茨は、原野や河原などのやや水分条件が良く、日当たりの良い場所に生育して樹高が数メートルになることもありますが、半ツル性なので、引っかかる場所がない所ではせいぜい高さ1メートル程の植物です。 『蛍と野茨』 それは遠い昔のことです。 一匹の蛍は、広い草原の向こうに住む伯父の家に行く途中でした。 蛍は、一日中空を飛び続け、夕方に1本の野茨が生えている丘に辿り着きます。 その野茨は、葉が枯れて腰の曲がりかなりの老婆に見えました。 一方、野茨は一目で若い蛍が気に入り、蛍に食事をさせ、蛍のハンモックを揺らしながら、楽しい話をたくさん聞かせたのでした。 そして、野茨は蛍に『私をお嫁さんにしてください』と頼みましたが、蛍は『君はみっともないから嫌いだよ』と答え、翌朝飛び去ってしまいまいました。 蛍は伯父の家で数ヶ月を過ごし、来た時と同じ道を飛んで自分の家に向いました。 帰り道、蛍は丘の野茨を見て驚いたのでした。 なんと、野茨は若く、葉も棘もとても綺麗で、美しい白い花をたくさん咲かせていたのです。 蛍は、野茨の美しさにうっとりして結婚を申し込みますが、野茨は、今はもう蛍のことが好きではなかったので断りました。 蛍は、野茨と別れ際に野茨が若返った理由を尋ねます。 すると、野茨は『狩りに来た人間が私に火をつけたらこうなったのよ・・・』と答えました。 そこで、蛍は自分も若く綺麗になって、野茨野に好かれるように、焚き火を見つけて飛び込みました。 蛍は、自分の身体が燃え出したので慌てて火を消しますが、身体は真っ黒に焦げてしまい、おまけにお尻の先端の火だけはどうしても消すことができません。 とうとう蛍は、真っ黒でお尻の先だけ光って見えるようになってしまったのでした。 そんな姿になりながら、それでも蛍は野茨のことを忘れることができず、花の季節には野茨の周りに群がり、焚き火を見つけると飛び込むようになったのでした・・・ 『ノイバラ』 科属:バラ科 バラ属 落葉低木 学名:Rosa multifora Thunb. 開花期:5月~6月 原産:日本在来種、北海道を除く全土、アジア東北部 クリックしてくださると、とっても嬉しいです! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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