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カテゴリ:税理士の仕事
先日、アカデミー賞を受賞した映画「おくりびと」で納棺師役で主演した本木さんに演技指導した、本職の納棺師の方を迎えての勉強会がありました。
納棺師の仕事は、ご遺族にとっても悲しみが始まったたばかりの時に訪問しての作業なので、納棺師の中にはご遺族に感情移入してしまい、作業が遅くなってしまう人もいるとのことでした。 しかしその方はあえて感情移入せず、粛々と必要な時間内で作業して、ご遺体をご遺族にお戻ししていますと話されていましたが、 このような心境になったのは次のような体験があったからとのことでした。 女性の方の納棺の仕事が入りご自宅に伺って作業を始めたところ、急を聞いて帰宅したであろうその女性のお子さん(小学校前半くらいの男の子)が部屋に入ってきました。 納棺師の方も当然母親の亡骸を見て泣き出すのだろうと思っていたところ、その子は父親の隣にきちんとお行儀よく座ったまま、泣きもしないでいたのです。 父親や親族の方々が「無理に我慢しないで、泣いてもいいんだよ」と話してかけても、その子はじっと口を真一文字に結んで、我慢していたそうです。 納棺師の方もおや?と思っていたところ、その子が親族の方々に泣かない理由を話し出したそうです。 「だってお母さんと約束したんだもん。」 自分が死ぬと葬儀等で親族以外の方々も多く訪れてくるので、自分が死んだ時も男の子なのだから他の人がいらっしゃる時には泣いてはいけない、 親族だけになった時にお泣きなさいと、その母親が生前その子に諭し、その子は母親と約束したらしいのでした。 その子は納棺師の方の作業が終わるまで我慢し続けました。 まだ幼く、母親に甘えたい時期であろう、そして誰よりも母親の死に直面して泣きたいであろう子供がです。 そして納棺師の方が部屋を出てドアを閉めたその時、部屋の中から母親にしがみついているであろうその子が号泣する声が聞こえてきたそうです。 その方はこのことがあってから、悲しみの主役はあくまでもご遺族の方々であり、納棺師の仕事はある意味他人が作業の間ご遺体をご遺族から預ってしまうようなものなので、 なるべく必要最低限の時間で作業を終えて、お預かりしたご遺体をご遺族にお戻ししようと考えるようになったそうでした。 お客様の本当の気持ちを考えた上で自分達の仕事の位置づけを考える。 私達の仕事にもたくさん共通することがあるように思え、改めて仕事に対して真摯な姿勢で取り組もうと思えた経験でした。 田中 大貴 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.04.23 08:18:50
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