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テーマ:日々自然観察(9876)
カテゴリ:昆虫(アブラムシ)
このイロハモミジ、以前新葉を紹介したことがあるが、新葉も紅葉も普段は冴えないので、我が家では至って評判の悪い木なのである。 紅葉を接写しても面白味はないと思うので、葉裏にアブラムシでも居ないかと探してみた。この木にはこれまでアブラムシが沢山付いた記憶はないのだが、度の強い老眼鏡を掛けて葉裏をよ~く調べてみると、極く僅かだが、アブラムシが付いていた。
無翅形で体長約2mm、アブラムシとしては中程度の大きさである。残念ながら有翅虫は見つからなかった。 全農教の「日本原色アブラムシ図鑑」に拠ると、カエデ属(Acer)に寄生するアブラムシとして、トウキョウカマガタアブラムシ、ニワトコフクレアブアムシ、モミジニタイケアブラムシの3種が挙げられている。図版を見てみると、写真のアブラムシはモミジニタイケアブラムシ(Periphyllus californiensis)に酷似しており、他2者とは形も色も著しく異なる。
九州大学の日本産昆虫目録を見ると、Periphyllus属には6種が載っており、その中にイタヤニタイケアブラムシ(P. viridis)と云うこのイロハモミジに寄生していてもおかしくない近縁種がある。しかし、先の図鑑によると、この種は体色が緑色とのことなので、写真のアブラムシはモミジニタイケアブラムシとして良いであろう。アブラムシ科ケアブラムシ亜科(Chaitophorinae or Callaphidinae)に属す。
図鑑に拠れば、このアブラムシは寄主転換は行わず、常にカエデ類(Acer)に寄生する。夏期になると、扁平で周縁に団扇状の突起を持つ変わった形の越夏型幼虫が出現するのが特徴で、初齢幼虫は何もせずにジッと夏を越し、秋になって発育を始めて無翅形成虫に生長するとのこと。「虫ナビ」と云うサイトを見ると、名前の「ニタイ(二体)」はこのことに由来すると書かれている。 今の時期、アブラムシの無翅形であれば、卵生雌の可能性もある。しかし、図鑑に拠れば、本種の卵生雌は後脛節が顕著に太いとあるので、これは普通の胎生雌であろう。アブラムシの生活環は非常に複雑だが、それに応じて虫の形態にも変化を生じる。全く、ややこしい連中である。
今年も余すところ10日になってしまった。今月の更新はこれでまだ2回目、今年中にもう1回更新したいと思うが、果たして出来るであろうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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面白いですね。紅葉って。
私は、色ずく葉は何色かには変わって、散っていくものとずっと思っていまして、綺麗にみえるかどうかが 年によって異なる、と感じてきました。 (2009.12.21 16:55:29)
東京の冬は暖かいですね。寒暖の差が大きい年は紅葉がきれいと聞きますが、今年の東京はどうだったのでしょう。
冬の寒さはあまり厳しくないほうが、あぶら虫も住みやすいのでしょうね。 (2009.12.21 17:26:43)
京都の紅葉の名所でも
殆どが「紅葉」というより「オレンジ葉」が多く 関西の今年はそういう年なのかなと思ってましたが そちらでもでしたか。 「ケ」アブラムシ亜科というのですから 「毛」が、と思ったのですが、 体表はつるりとしてますね^^; ヒメカマキリ、ありがとうございました。 凄くサイズが小さい個体で何か「?」に見えましたが まさかそんな種があったとは、でした。 幼虫越冬で京都が北限に近い、希少種とありました。 いた場所も場所ですが^^; アーチャーンさんと仏様のお陰かと感謝いたします。 (2009.12.21 23:23:45)
我が家の紅葉も 期間が短く寒波にのまれてしまいました。急激な温度変化で紅葉するのでしょうか。
アブラムシの体の中央にこげ茶色の消化器官のような部分が透けて見えます。模様でしょうか? (2009.12.22 08:55:23)
kotiaitiさん
>面白いですね。紅葉って。 >私は、色ずく葉は何色かには変わって、散っていくものとずっと思っていまして、綺麗にみえるかどうかが >年によって異なる、と感じてきました。 ----- 紅葉はアントシアニンの合成により赤い色を生じ、黄葉は元からあるカロチンがクロロフィルの減少により目立つことによる、とされているらしいです。気温や低下や変動パターンによって、これらの要因に変動を生ずるのでしょう。 (2009.12.22 08:56:51)
あるかねっとさん
>東京の冬は暖かいですね。寒暖の差が大きい年は紅葉がきれいと聞きますが、今年の東京はどうだったのでしょう。 ----- 特に暖寒の差が大きかったとも思えませんが・・・。11月に気温が急に低下した後また暖かくなり、以降次第に寒くなったと思います。 >冬の寒さはあまり厳しくないほうが、あぶら虫も住みやすいのでしょうね。 ----- これらのアブラムシは葉と共に落下して果てる運命にあります。 (2009.12.22 09:00:19)
snowrun29さん
>京都の紅葉の名所でも >殆どが「紅葉」というより「オレンジ葉」が多く >関西の今年はそういう年なのかなと思ってましたが >そちらでもでしたか。 ----- 我が家以外ではどうなのか、良く分かりません。 >「ケ」アブラムシ亜科というのですから >「毛」が、と思ったのですが、 >体表はつるりとしてますね^^; ----- 毛油虫です。写真を拡大してみると、結構太い毛が生えています。 >ヒメカマキリ、ありがとうございました。 >凄くサイズが小さい個体で何か「?」に見えましたが >まさかそんな種があったとは、でした。 ----- 私も図鑑でしか知りません。 >幼虫越冬で京都が北限に近い、希少種とありました。 >いた場所も場所ですが^^; >アーチャーンさんと仏様のお陰かと感謝いたします。 ----- そこそこの希少種の様です。お目に留まったのは、勿論、私のせいではありません。 (2009.12.22 09:03:24)
るる555さん
>我が家の紅葉も 期間が短く寒波にのまれてしまいました。急激な温度変化で紅葉するのでしょうか。 ----- 急激な変化は紅葉に宜しくないと聞いています。紅葉はアントシアニンの合成に因るので、急激に低下すると合成する暇がないのだと思います。 >アブラムシの体の中央にこげ茶色の消化器官のような部分が透けて見えます。模様でしょうか? ----- 模様です。 (2009.12.22 09:07:23)
むずかしい名前のアブラムシだなあと思いました。
二体の説明に納得しました。 モミジの木は今年はお宅のみなさんにほめてもらえたのでしょうか? いままで肩身は狭い思いをしていたでしょうから(木がそんなことはないでしょうが)なんだかよかったです。 (2009.12.23 18:15:29)
クーン43さん
>むずかしい名前のアブラムシだなあと思いました。 >二体の説明に納得しました。 ----- 意味の分からない虫の名前は沢山あります(困ったことです)。「虫ナビ」の説は他では見たことが無く、正しいと云う保証はありません。 >モミジの木は今年はお宅のみなさんにほめてもらえたのでしょうか? いままで肩身は狭い思いをしていたでしょうから(木がそんなことはないでしょうが)なんだかよかったです。 ----- 兄などは気が付いていない様です。モミジの為にも教えてやるべきか。 (2009.12.23 20:40:39)
この長い名前はモミジとアブラムシの間はどこで
切るのかと思ってましたら読んでるうちに解決しました。二体毛なのですね・・なるほどなるほど 虫がいなくなって寂しい思いをしているのでアブラムシでも拡大写真を見ると何故かホットします (でもはアブラムシに失礼かな・・笑) どうぞ来年もご健康でよいお年をお迎えください (2009.12.27 17:05:38)
ukon6624さん
>この長い名前はモミジとアブラムシの間はどこで >切るのかと思ってましたら読んでるうちに解決しました。二体毛なのですね・・なるほどなるほど ----- 虫や植物の名前は意味の分からないものが随分有ります。ニタイ(二体)の謂われも文献やその他のサイトに無いので、正しいか否か些か不確かです。 >虫がいなくなって寂しい思いをしているのでアブラムシでも拡大写真を見ると何故かホットします >(でもはアブラムシに失礼かな・・笑) ----- 今日、コウガイビルを見付けたのですが、余り可愛い代物ではないし、真っ黒なので、掲載は止めました。 >どうぞ来年もご健康でよいお年をお迎えください ----- 御心使い恐縮です。ukonさんも良いお年を!! (2009.12.27 21:03:41) |