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上生的幻想

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2005/03/11
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カテゴリ:フランス その他
 
 フィネスとエレガンス。いつもの決まり文句で、いい加減耳にタコができそうだけど・・・・^^;
 でも、まあ、このワインにはそう呼んでもよさそうなものがある感じ。ボルドーやブルゴーニュに比べて、南方の暖かい気候と日差しの中で、すくすくと育まれたブドウ。ふっくらと言うより、ぽっちゃり。と言って、一般的なチリのように粗野でもない。ただ、どことなく、無頓着。すくすく育ったブドウからできた無頓着なワインに、フィネスとエレガンス・・・なんてちょっと矛盾するみたいだけど・・・。でも、あるんだよね、これが。すくすく育ったブドウからできたワインの、鷹揚なフィネスとエレガンス。
 以前、早飲みPが「人生最大の発見」とまでベタ褒めしたトレヴァロンの96を飲んだことがあるけど、あれは、お仕着せのフィネスとエレガンスだった。ローヌの田舎者が、憧れの超都会ボルドーの最新ファッションに何とか、その田舎臭いボディを押し込みました、って感じで。それで、得意げに、都会のサロンに出入りできるって、鼻高々で。でも、仕草や流儀は、結局田舎者。都会の最新ファッションに身を包んでいる分、田舎者臭が、かえってプンプン。おいおい、いくら着てるものでごまかしても、仕草や流儀、身のこなし、体つき、そういうもので育ちがわかるんだよ、ただボルドーのフィネスとエレガンスの猿真似すりゃいいってもんじゃないんだよ、って。こんなワインが「人生最大の発見」だなんて、Pも毎日よっぽど退屈な人生を送ってるのか、なんて、ちょっと共感しつつ、気の毒になったりして。
 さてさて、田舎者が田舎者なのは、そうやってすぐ、都会の流行や流儀やファッションの真似をするから。もちろん、住んでいる所なんか関係ない。都会に住んでいても、そういう田舎者はいっぱいいる(流行に敏感ですぐ人真似するのは田舎者だから。都会人は、新しいものを作り出す方だから。そういう意味で、日本人の多くは、やっぱり、今でも片田舎者か。昔は、中国、次は、ヨーロッパ、今は、アメリカ。でも、少なくとも、「古今集」と、利休や織部の頃の「茶の湯」、それから「ニンテンドー」なんかの精神は田舎者とはちがうかな、なんて^^)。ただ、都会に住んでいるだけで、自分は田舎者だと思っていないけど、そういう個性のない田舎者根性のやつはいっぱいいる。
 このローヌのワインが田舎者でないのは、ローヌのワインとしての、フィネスとエレガンスを持っているから。ローヌという土地、気候で育ったブドウ、そこから生まれたワインだからこそ持ち得るフィネスとエレガンス、それを持っているから。それは、ボルドーやブルゴーニュのそれとは違うし、むろん、トレヴァロンのような猿真似のそれでもない。そのエレガンスは、武骨、と言うか、無頓着というか、鷹揚とでもいうか。武骨、と言っても、たとえば、タルボのようなものとは全然違うし、鷹揚、あるいは大柄といっても、グリュオ=ラローズみたいなものとも違う。ボルドーのようなスタイリッシュさはないが、それでもやっぱりスタイリッシュ。つまり、日差しと気候に恵まれてすくすく育ったブドウからできたワインが持っている、どことなく締まりのない、力強さに欠ける、フィネス、エレガンス、スタイリッシュさ。ボルドーやブルゴーニュは、気候的にみれば、ある意味、ブドウにとっては、「逆境」。そんなところで育ってるわけだから、ふつうに育って実をつけること自体が逆境の克服、みたいなもの。そこに、力強さが生まれる。攻撃的な力強さではなく、忍耐力とか、打たれ強さ、っていう種類の、芯の力強さ。それが、このワインには欠けている。たしかに、いかにも順境で育った素直さ、鷹揚さ、豊かさはあるが、反面、もろさを感じる。
 あとは、南方のワインの多くに感じられる、躾の行き届いてなさ。っていうより、躾られなさが南方のワインの特徴だと思うんだけど。人の手でプラスしたりよくしたりできること以上に、ブドウ自身の勢いが強いんだろう。ボルドーやブルゴーニュは、芯の芯まで作り手の厳しい躾が透徹してる感じがする。それほど透徹させても、というよりその躾が押しつけになって押しつぶされてしまうのではなく、素質や美質としてしまってるようなワインこそが、「偉大なワイン」と呼ばれる資格を持っているように思う。このワインは、たしかに、人の思うように躾られないところがあるにしろ、もともとが、素直で、人柄がよいから、躾が多少行き届いてなくても、それほど気にならない(厳しい躾と言えば、以前飲んだルロワおばさんのブルゴーニュ・ルージュを思い出す。残念ながら、ルロワおばさんのスパルタな躾は、そこらの並才のブドウには過酷すぎたようだ。とりあえず、ルロワ家の一員の体面だけは保ってはいたが、まるで、なんとかワンランク上の大学に合格はしたものの精も根も尽き果ててのびきったゴムのようになった学生さながらだった。彼女の躾は、生え抜きの超一流のエリートブドウにふさわしいものなのだろう。彼女は頑固で、決してヴィレーヌのようにブドウに合わせるようなことはしないと感じた)。
 
 さてと。風味について。だけど、風味について書くのは、結構苦痛。っていうか、テイスターやソムリエやワイン鑑定家でもない僕が、味についていちいち記すのは、めんどくさい。ワインだから、ワインの味がするに決まってる。と、かなり捨て鉢な言い方・・・^^;
 色は、明るく澄んだルビー。
 アロマは、ちょっとカベルネ・ソーヴィニヨンチック。そして、嗅いだことがない赤い花の匂い。って、嗅いだことがないから、ほんとにそういう花の匂いがあるのかどうかはわからないけど、そういうイメージが喚起する匂い。それは、澄んだ爽やかななかに、赤い花の色素の匂いがする。
 ブーケは、ハーブやミントがとけ込んださわやかな赤色系果実の獣。
 口に含むと、つるつるした果肉のような「食感」。やわらかく煮詰めたチェリー、イチゴ、イチジク、そこに、黒胡椒とハーブ少々。後半、果実味などの物陰に潜んでいるような、ほのかなクリーミーさ。風味は濃厚だが、力強さには欠ける。また、たしかに濃厚な赤色系果実の風味だが、それらはフェヴレのように生き生きとしてはいない。
 余韻は、タバコ。
 
 COTES-DU-RHONE VIEILL VIGNES 1998  TARDIEU-LAURENT
 
メモ)ローヌのネゴシアンでもあり、一流テイスターでもあるタルデューさんと、パテシエから転身したローランさんのジョイント。たしかに、テイスターさんのブレンドだけあって、匂いを嗅いだとき、このワインってなかなかいいかも。うん、たしかに悪くなかったけど・・・でも、今思うと、ちょっと、厚化粧かな。おしろいが、粉っぽいほど。っていうか、作り物っぽい。たとえば、ニューハーフさんやネカマさん。もともと「女」じゃないから、「女性」性を過剰に取り込んで、むんむんするほどわざとらしく過剰に表現してくれる。そんな感じ。もともと、それほどのワインじゃないのに、それほどのワインみたいに感じられるように、匂いや風味の演出が過剰、ってことかな。(2005/03/25)


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Last updated  2005/03/25 10:04:33 PM
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