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上生的幻想

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2007/02/13
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カテゴリ:フランス その他

 ヴァンダンジュ・タルディヴは、ドイツでいえばアウスレーゼ。遅摘みのこと。
 
200702 004.jpg
 
 とろりとした、深い照りのある黄金色。ただ思ったより色合いは淡い感じ。
 コルクの内側に緑がかった黄土色の大きな酒石酸の結晶が三個(ビンの底にも大きなものは小指のさきほどのものも含めて数個の結晶)。
 さらりとしたハチミツのアロマには、野菜っぽいニュアンス、生臭い白い花、ハーブと白檀の混ざったような香りも。このハーブと白檀の香りはとても魅力的で、オリエンタルな雰囲気(それもなぜかバビロニアあたり)がただよってくる。グラスを揺すると、オリエンタルな香りがますます強くなり、パンやスパイスの香りも加わった。
 あっさりとした爽やかな甘みのアタック、中盤からはホット。唇をすぼめてつくった隙間から息を吸ってワインを口先でブルブルさせると鼻に抜けていくオリエンタル・ブーケの香りがさらに蠱惑的。
 ムワルー感ゆたかな、つまりとろとろしているが、つるつるとした口当たり。口の中にべったり厚ぼったくはりついてくる感じはない。
 果実味の他にパン、また、清酒の米のうま味のようなコクも残るフィニッシュは、とても詩的。こくっと飲み込んだ瞬間、風に舞う白い羽毛を感じ、なんとなく荒涼とした白ちゃけた大地に緑輝く葡萄の畝が整然と並んでいるアルザスの情景がふっと心をよぎっていく。
 静かで落ち着いた、穏やかで控えめな雰囲気。
 そして、唇を覆う、脂っぽさ。思わずティッシュでぬぐいたくなる・・・。ラードというより、これはまるで豚脂のこってり感。豚バラ入りの焼きそばやお好み焼きを覆うあの脂っぽさ。ただ、こってりはしていてもべたべたはしていない。オリエンタル・ブーケのお陰ですっきりさえしている。ぼってり、くどくど、べったり・・・などなどマイナスのイメージを引き寄せないこの脂っぽさは、エレガントでさえある。
 この心地よい脂感でぽってりとした、しかし、とてもすらりとして飾り気のないシンプルなボディ。ぽってりとすらり。この相反する要素がひとつにとけあったボディは良作年らしい、今は歳月によって和らいだ穏やかなポテンシャルを秘め、よく目の詰まった感じがする。
 
 食事とともに、あるいはデザートとして楽しむと、不思議とこの豚脂のようなこってりは唇から消えてなくなった。
 
 アロイス・クラッハーのような溌剌さ、鋭さがないのは、歳月の魔法。
 熟成したソーテルヌのような緑滴る複雑な風味が幾層にも折り重なった甘露という趣はない。
 ぽってりとすらり。エレガントな豚脂と飾り気のないシンプルなボディ。
 欲を言えば、なにかもう少しサプライズがあれば。。。(2007/2/13)





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Last updated  2007/02/13 09:52:31 PM
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