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第十二回 片山家 能装束・能面展 2008/8/2 京都文化博物館 6F 2008/8/1~8/3 無料 一階のエレベーター前で、カタク発見! そして、ラッキーにも、カタクの解説を聞けた。 源氏物語千年紀にちなんで、源氏系の曲に縁のある装束と能面が展示されていた。 装束 紅白段御簾花ノ丸唐織 江戸末 井筒・玉鬘など 白地御簾花ノ丸唐織 白地の唐織は珍しい。夕顔・半蔀など、白地の唐織を使うことになっている曲に。 紅地花筏唐織 大正末 これは、カタクが、初めて竹生島のマエツレを披いたときの装束。斑女の後シテなどにも使う。 黒紅段色糸下り藤色紙模様唐織 さる流儀の人が注文したが完成後キャンセルしたものだとか。上等なもの。色紙の模様なので、文(手紙)がでてくる曲はさける。 黒紅地籬ニ菊模様唐織 片山家の玄関の屏風に袖の部分が貼ってあったものを復元。プラチナより高価な朱を何度も使って糸を弱らせて、染色したとか。 観世流ではこの色が三番目ものに一番ふさわしいとされている。野宮など。 紫地牡丹ニ揚羽蝶ト蜻蛉模様唐織 源氏供養など。 鬱金地金源氏香ニ枝垂桜蝶唐織 復元したもので、オリジナルもある。オリジナルのものは退色してこれより白っぽくなっているが、舞台に上げると照明の加減でこのように黄色くなる。 今年の2月の片山定期能の半蔀の前シテ(片山慶次郎)の装束がこれだった(オリジナルか復元なのかはわからないけど)。 葵上、熊野など。 白地若松唐織 白地の唐織。今回の展示の中でもっとも古い(が、いつの頃のものかは言ってくれなかった)。終戦まもなくの時期に修繕したので、ミシン目が至る所に見られる。カタクしか着ない(サイズ)。半蔀(立花供養で。写真があった)。 白地金八藤ニ立涌唐松模様単衣狩衣 融など。 浅黄地無輪唐草地銀松菱模様単衣狩衣 今年、平安神宮の新作能 紅葉の賀で頭中将の清司師が着用。 金銀観世水摺箔 胡蝶などの着付け。 先日の松風もこのような観世水の摺箔だった。 萌黄地花熨斗蝶長絹 胡蝶など。 紅地花菱厚板唐織 もともとは片山家に伝わる鼓の袋だったものを、装束用に模様を少し大きくしてこしらえたもの。葵上など。ただ、いろいろなものに使えて重宝しているとのこと。 萌黄地源氏香半切 金の源氏香模様。 紫地檜垣花ノ丸単衣狩衣 シックな小豆色。古いものである。とてもいい感じ。 面 一見して、どれも、片山家の好み、センスが現れていた。選ぶ基準のようなものは、舞台に上げられるかどうか。舞台に上げられるとは、その能面からいろいろな表情が引き出すことが出来るかどうか、というようなお話だった。去年落札した、「増」。今年、定家で清司師が使ったということ。なかなかよかったとのこと。 いろいろな表情が一つの面に、固定した表情の中に入っているとは、「意味」が重層的に折り重なっている、ということだとも言える。いろいろな表情が一つの表面に折り重なり、絡み合って固定化されているから、表情はとぼしくなる。能面が「無表情」といわれるのもそういうことなのだろう。もともと人の生の表情にしたところで、ある一つの表情が強調されるからその表情に見えるだけなのかも知れない。 いろいろな表情が折り重なっている面に、謡や仕草が加わってある表情が強調され、それによって能面に意味のある表情が現れる。 全体の印象として、どれも流動的、ニュートラルで、柔軟な感じがした。以前博古館の住友コレクションでみたものは、一つの表情が面の表面にくっきりと固定されていた感じ。それとは対照的で、むしろ、片山家のものは生きている、また、シテの生きた肌、生きた顔そのものという感じがした。今、思い出してみても、ある面について、なにか特定の表情がくっきりあらわされているのではなく、泣き顔、笑い顔と想像してみると、面がその表情に柔軟に変化してくれるような印象がある。 面の説明については、補足あり。 その他、扇、鬘帯なども展示してあった。 入り口から入ったところには、作物のミニチュワも。 京都文化博物館内 鳥彌三(とりやさ)のあざみ 賀茂茄子御膳 舞妓御膳 で食事をして、 KAZARI 日本の情熱 京都文化博物館 4F 2008/8/2~9/15 こちらは有料。 縄文時代から江戸末まで、土器から装身具まで、飾りという観点から日本の工芸品など様々なものを展示。 それにしても一番驚くものは、安土桃山時代の武具。 言ってみれば、たとえば、クジャクの尾羽、極楽鳥の尾羽・・・。いくら装飾に凝ったとしても、武具以外のものは、日常品としての用を逸脱することはない。ところが、この武具は、完全に用を逸脱している感じ(特に、兜。ほとんど実用的とは思えなかったりする)。用なんてことはどっちでもいい。とにかく目立つこと。戦場で目立つこと。目立つことが、用ってことか。なんせ、武将にとっては戦場はハレの場なんだし。迷彩服の近代戦とはまったく違う価値観が支配していたんだろう。 これでふと思い出すのが、織部の茶碗。兜の感性とまったく同じ。 その後、 永楽即全「源氏物語五十四帖」と十七代永楽善五郎 展 よかったもの 即全 十五帖 蓬生 伊賀大やつれ花入 五十三帖 手習 信楽秋草彫花入 どちらも、伊賀・信楽本来のひなびた感じや荒々しさが、京風に繊細になっていて、面白かった。 善五郎 鶴亀やウサギなど、動物の香合はユーモラスでなかなか面白かった。他に、 交趾松絵菓子皿 赤芽柳絵水差 織部竹絵茶碗 この織部は、安土桃山的な感性を京風・現代風に洗練させた感じ。櫛目、皮目など地肌の面白さ、また、釉の掛け分けの面白さ。姿なりも、どこか工業生産物風なところが面白い。 その後、大丸へ。夕食を買って、JR伊勢丹(帯)、帰宅。 錦味 鱧づくし お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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