本のタイトル・作者
ねこマンガ 在宅医たんぽぽ先生物語 さいごはおうちで [ 永井康徳 ]
本の目次・あらすじ
プロローグーあこがれの「ゆうの森」見学
第1話 じゃがいものきんぴら
第2話 102歳の大往生
第3話 余命1週間からの復活
家でおだやかに過ごす 在宅医療とはどんなもの?
第4話 最期の入浴
第5話 いつか私も。人生会議をしよう
第6話 枯れるように逝きたい
第7話 クリスマスピーチをママへ
第8話 92歳のバースデーケーキ
みんなが納得&安心できる よりよい在宅医療を受けるために
エピローグ たんぽぽ先生とおばあちゃん
感想
2021年読書:180冊目
おすすめ度:★★★★
佐々涼子『エンド・オブ・ライフ』を読んで、在宅診療についてもっと知りたいと思ったので読んでみた。
コミックエッセイ風。
登場人物がネコで、可愛くて読みやすかった。
愛媛県松山市にある、在宅医療専門クリニック「ゆうの森」(
医療法人 ゆうの森 たんぽぽクリニック)。
まず、これだけの人が携わっているのだと驚く。
医師、看護師だけではない。
ケアマネージャー、ソーシャルワーカー、管理栄養士、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士、調理師、医療事務…。
そしてその人たちが真摯に「人の終わり方」に向き合っている。
本の中で、繰り返し点滴について出てきて、初めて「点滴をしない」という選択肢があることを知った。
人は老衰で、病で、天寿を全うするため、身体を空っぽにしようとする。
そこに無理に点滴で栄養と水分を入れると、身体は苦しむ。
点滴をしないことで、口から食事をすることも出来たーーー。
自分が、親が、伴侶が、死んでいくとき。
何を選んで、どうしたいか、どうしてほしいか。
よくよく考えておかないと、辛い選択をしたり、させたり、するだろう。
呼吸器をつけなくてもいい、というのもハッとした。
母の死に目にあえないかもしれないから、最後に呼吸器をつけてほしいと希望した娘。
でも、亡くなる瞬間を見るために、苦しい思いをさせる必要はない。
楽に、その人のタイミングで、逝けること。
漫画『コインロッカーのネジ。』で、祖母の呼吸器を外した孫が出てくる。
「本人が『苦しいからもう外してくれ』というまで分からないなんて、バカだ」
というようなことを言っていた。
そのことを思い出した。
生きていてほしいと願うこと。
けれどそれは、エゴなんだろうか。
愛情が、その人を苦しめて、無理やりにこの世につなぎとめようとする。
最近、漫画『ミステリという勿れ』を読んで、そこで「死の瞬間を見せないという思いやり」(だったかな?)と主人公が言っていた。
死の瞬間を見られないよう、獣は去る。
人も、それと同じことが言えるかもしれない。
これまでのレビュー
2020.08.11
ライオンのおやつ [ 小川糸 ]
2021.07.22
エンド・オブ・ライフ [ 佐々涼子 ]
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