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書評日記  パペッティア通信

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Aug 28, 2005
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(ネタバレ注意!)
どうにも、違和感が拭えないラストです。

このシリーズは、20巻のレビューにも書いてみたので参考にしてください。
そもそも20巻は、男3名がよってたかって水商売の女性1名を排除することで、安定した関係をむすびなおすという、すさまじく「情けないお話」でした。ここで、実際のストーリーは、ほぼ終っているといえるでしょう。最終巻は、その「落穂拾い」をしつつエンディング…ということなのでしょうが…

浅葉秀明くんの中学時代の話は、とても面白い。

浅葉くんは、女性を心底から必要としてくれている。
そのため、女性からもてる。
彼と付きあう女性は、きっと幸せになれるでしょう。
しかし、浅羽くんは、付き合っても幸せになれない。

だから、浅葉くんに告白することなく、友達のままでいることをえらんで、
卒業していった一人の女性。
それを丹念にえがいた、
冒頭に収録された小品。

正直、なかなか泣かせてくれた。
うまいとさえおもった。


違和感は、これがラストとどう絡むのか、
わからない所にあります。


ラストはかなり衝撃的でした。
舞台は、16年後。
35歳の浅葉くんは、宮沢雪野と有馬総一郎の娘、
有馬咲良16歳に告白されてしまう。
浅葉くんの「光源氏計画」炸裂!といった所です。

浅葉くんは、有馬咲良を心底から必要としてくれている。
そのためその咲良から愛を告白される。
それはいいんだ。

問題は、浅葉くんは、なぜ「幸せになれるのか」。
そのまま卒業していった彼女と咲良の違いはいったい何か。
それがまったく分かんないのだ。

その「幸せ」について、浅葉曰く

大好きな雪野と総一郎の娘だから当たり前か

って、何ですかそれ。
ぜんぜん、説明になっていないじゃない。

だいたい、それ以前の女性は、「幸せ」をもたらさない女性だったのか?
それなら、どうして、彼は心底から女性を必要としていたのか?

とりあえず、その疑問を脇に置いておくとしてもです。

欠如を埋めてくれる有馬家の娘に、喜びを噛みしめていた浅羽くん。
なら、告白した有馬の娘は、どのように欠如を埋めたのだろう。
これすらよく分からない。

私の欠如は、浅葉くんに埋めてもらえる。
だけど、私は浅葉くんの欠如を埋めてあげられない。
私の欠如を埋めることで、浅葉クン自身の欠如を埋めるよう、
浅葉くんに強いてしまう。
それは、愛の欺瞞にすぎない。

そのため、告白しなかった女性をえがいたのが、
冒頭に収録された作品のはずです。

浅葉君の欠如は、有馬咲良が埋める。
だけど、有馬咲良自身の欠如は、浅葉はどう埋めるのか?
「幸せになれるでしょう」と書かれているのは確かです。
でも、どうやって。

ここがさっぱり分からないので悩んでしまう。

ここで浅羽くんの欠如を埋めることによって、
有馬咲良の欠如を埋めることなど、あってはならない。
それは愛の欺瞞ではないか。

冒頭、浅羽くんに愛の欺瞞を強いるゆえに、
身を引いた感動の女性の物語が、
ラスト、有馬の娘が愛の欺瞞を選びとることで、
浅葉が幸せになる物語に変質してしまっている。


これは致命的におかしいのではないか。
いったい、浅葉くんに告白しなかったあの女性の決断は、
なんだったんだ…(初キスは浅葉くんだったけど)

というか、愛の欺瞞を16歳の娘に強いていることを気付かない、
そんなニブい浅葉くんを登場させるなんて、
繊細な浅葉の大ファンとしては、断じて許せないのですけど…

ストーリーテラーらしく、
20巻を上回る衝撃のラストを用意してくれた。
それはたしかに嬉しい。

だけど、細部の微妙な味わいが、
ずいぶん大味になってしまったのが残念。

とはいえ、9年間、ご苦労様でした。

評価 ★★★☆
価格: ¥410 (税込)

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Last updated  Aug 28, 2005 07:52:21 PM
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