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むかしのこと

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2011.03.13
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カテゴリ:赤松光夫
「消えた蛍火 赤松光夫」のGoogle検索

「赤松光夫」のGoogle検索

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消えた螢火
官能小説ばかりヒットするのでご注意ください。
著者:赤松光夫
集英社文庫 コバルトシリーズ
定価200円
1977年7月10日 発行
カバー・カット:文月信(Google検索

***

目次

消えた螢火
 伊豆の風来坊/卒業前後/夜の交差点/おいてきぼり/去りゆく人/休学/
 愛のない過失/一つのうねり

ヒマラヤの慕情
 ヒッピー青年/思いは消えず/また会う日は
沈黙の塔
 思い出の曲/カトマンズの少女/おそろしい夢/月光の中の激情/ブーゲンビレアの花

うわーネットで「女学生コース」昭和42年5月号掲載であると知る。
ありがたいなあ
1971年にコバルトブックスの体裁でも発売されているようです。
もう少し記事を増やしたら、年代別(今は五十音別だけ)に整理したいなあ。


***ネタバレです***

***ご注意ください***


消えた螢火
桐子は、京介たちの大学合格祝いパーティの日、優子に誘われるが
その日桐子の家では、城東大学生、浅井六郎を迎える予定になっていた。

京介と桐子は幼馴染み。しかし最近は口をきかなくなっていた。
心の中ではひかれあっていたが、京介は桐子に匿名の手紙を書くくらいしか意思表示できず
桐子は、手紙は京介からかも、とちらりと思いつつも一人で行く度胸はなく
六郎についてきてもらう…

しかし優子は行動する女。強引につきまとい、キスまでする。
六郎は桐子と京介の気持ちを察して、京介に下宿を世話し、桐子の近況を伝えたりする。

桐子は亡くなった母と同じ結核になり、入院する。
そして優子が京介の下宿に押しかけ一夜を過ごしたと知る。
後妻と離れて暮らす父は入院してから桐子に同居をすすめてきていた。
噂を知った桐子は神戸へ引っ越す。

六郎から入院を聞かされた京介は見舞いに行くが既に退院し引っ越し先もわからない。


舞台は伊豆。お父さんは神戸に住んでいますが、
海の関係ある舞台は赤松光夫作品によく出てくるように思います。
でもこの作品は『秀才と鈍才』みたいなハッピーエンドではありませんでした…

「学生村」や「結核」など、昭和だな~と感じさせる要素があり、
女性の個性なども、古きよき時代という感じ。よくないところもあるけど

強引な女の子にせまられて、ついキスだけしちゃう男の子は、
きりっとしてかっこいい意志の強い男性より、実際の女の子には
親切な表現でした。最後は優子をふりきり、桐子への思いを強くするのですが…
出会いと別れを繰り返した昭和一桁生まれからの贈り物という感じです。厳しい。

ヒマラヤの慕情&沈黙の塔
久子は恋人の藤木を交通事故で失った。ふっきるため春休みを利用して旅行に
でかけた最後の地、ネパールで、同じく恋人を失った日高に出会う。
魅かれあったまま別れ、インドで再会する。
久子は日高を求めるが、日高はカフェで娼婦に「あなたの見つけた女性は薄幸だ」と
言われたことを思い出し、愛してはいけないと、そのまま別れる。
二か月後、久子の消息を聞こうと立ち寄った日本寺で、
日高は久子が東京に戻らず姿を消したと聞かされる。日本に帰ろうと思っていた
日高は、自らの行くべき道を見失う。


一冊だけ読んだ尼僧ものを思い出してしまうような…

私は海外旅行はあまり好きじゃないですが、おみやげ話は好きです。
だから、カトマンズのヒッピー生活や、クマリの祭りなど、情報がほどほどで
(舞台としての海外を描写しすぎる作品はあまり好きになれない)
楽しめました。

日高の死んだ恋人は「元」恋人で、彼女は日高の父が精神病で死に、
そういう血筋の子は産めない、と去って行った…とか、
重々しい話だった。それから放浪し、ヒッピー生活に入った。

娼婦の言葉など気にせず、同じ痛みのわかる者同士、
故郷でやり直す勇気があったなら…

人間どうしの出会いというのは、ほんとうにふしぎなものだ。君がひとこと、彼にいったことが、君たちふたりを墓の中までいっしょに結びつけ、新しい君たちの子孫をつくり、この世に新しい生命を作り出すかもしれないんだからな。たったひとことのことばでだ。だからぼくはいうんだ。愛のことばはたいせつにしなくちゃいけないって―。もちろん、愛のことばには、それだけ責任がいる。しかしだ。それが自分自身をいつわらないことばであるなら、黙っている必要はない。いや、勇気を出して彼にそのことばをつたえるべきだ
「消えた螢火」で六郎が桐子に言った言葉。
悲しい結末のときも、ドタバタを収束させるお灸話のときも、
赤松光夫は励ましてくれているのだと思う。





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最終更新日  2011.06.14 23:04:47



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