中国の不思議な役人
【パルコ劇場「新」スタンダードシリーズ】 中国の不思議な役人 作:寺山修司 演出:白井晃 音楽:三宅純 振付:小野寺修二 舞台美術:小竹信節 衣裳・ヘアメイク:太田雅公 照明:沢田祐二 音響:矢野二朗 PARCO劇場 開演14:00 <出演> 平幹二朗 :中国の不思議な役人 夏未エレナ:花姚 田島優成 :麦 秋山菜津子:女将校 岩松了 :西瓜男、黒衣 吉田メタル:怪力 [劇団☆新感線] 小野寺修二:一寸法師 春海四方 :両替商 内田淳子 :魔耶 町田マリー:毒薊 [毛皮族] エミ・エレオノーラ:切り抜き 初音映莉子:赤い鳥 高山のえみ:青罌粟 佐藤ひでひろ:鏡売り 河内大和 :人間犬、不器男 田村一行 :無頼漢 [大駱駝艦] 奥山ばらば :無頼漢 [大駱駝艦] 吉村華織 :梨貞 岡田あがさ:風怜 宮原美文 :紫紋 宮本大路(sax) スティーヴ エトウ(perc) 1977年の天井桟敷による初演以来32年ぶりの再演。観客は、寺山修司ファンとおぼしき中高年層が多かったです。(あらすじ) 物語の舞台は1920年代の中国上海。日中戦争に翻弄される人々の欲と夢と恐怖がうずまくカオスな世界。ある日、娼館に1人の少女が連れて来られる。少女は市場で兄とはぐれたところを拉致されてしまったのだ。少女は「花姚(かちょう)」と名付けられ、娼婦としての教育を施される。生娘の少女を見初めた中国の宦官(役人)は、毎夜娼館に通い彼女を人形のように愛おしむ。 実は、少女と役人を出逢わせたのは日本軍の女将校だった。女将校は少女の兄に、少女を取り戻すのと引き換えに役人の殺害を命ずる。しかし、兄が青龍刀で役人をめった切りにしても死なない。幾度も蘇る不死身の役人を永遠の眠りに着かせる方法はただ1つ。「愛される」ことであった。 娼館に通う役人は、愛撫を嫌がらなくなったどころか快楽に目覚め自分を受け入れる素振りを見せ始めた少女に、ある危機感を抱きはじめる。少女が自分を愛すること、それは自分の死を意味するからである。そしてついに、少女が発した言葉により役人の命が止まる時が来たのだった…。 中国の役人=中国四千年の歴史、なんでしょう。たぶん。とりあえずそう解釈しとく。ある主要な人間の命が消えようが、新しい勢力が台頭しようが、この大地に横たわる思想は変わらないよ。時間を巻き戻し、歴史を操作するなどは、神を冒涜する行為だよ。いつまでも過去の夢にしがみつく民族も哀れなら、それを乗っ取ろうとする輩も滑稽だな。等々。物語の舞台もカオスなら頭の中もカオスだった(笑)。寺山ワールドのこのゴチャゴチャ感が大好き。とにかくね、私的な見所が多くて楽しめました。座席も久々の最前列ど真ん中(ほぼ)だったし。 一言でどんな舞台?と問われたら「摩訶不思議で陰鬱」、どんなお話?だったら「エロくて残酷」って答えるかな。表現は緻密なのに根底のテーマは壮大。エログロ満載だけど芸術的。 平幹二朗が不思議な役人を怪演。登場シーンの仰々しい音楽と「わーーーーーっはっはっはっ」のお声が耳から離れません。2週間ぶりに拝見したら女っぽくなってた夏未エレナちゃん、今後に期待大ですね。内田純子さんの神秘的な存在感も印象に残ります。惜しげ無くご披露した美乳…同性ながら眼福でございました。そして、ハンサムウーマンな秋山菜津子さん。カッコいいです。 ふと思ったんですが、演劇に興味を持つきっかけ第1位は、「役者」又は「劇団」って人が多数な気がします。それに匹敵するのが「原作」または「脚本」で、次あたりに「演出家」かな? で、見続けているうち自然と舞台美術や照明に「この感じ、何となくいいな」と感じ、「誰がやってんだ?」と興味が出て名前を覚える。ここまで来てようやく自称「演劇ファン」を名乗ってもいい気がしてきました。1日1~2作品のペースで365日暮らしている観劇の達人様には到底及びませんが…。にほんブログ村ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー9月3日鑑賞の「ザ・ダイバー」もアップしました。http://plaza.rakuten.co.jp/cutentag/diary/200909030000/