ディー判事シリーズの5作目,時代順にも5番目になる
ロバート・ファン・ヒューリックの「中国鉄釘殺人事件」
(The Chinese Nail Murders,1961)
を読んだ。
シリーズすべてを時代順に読む必要はないと思うが,この作品については,少なくとも第1「迷路」~第4「湖水」は先に読んでおきたい。
676年。
狄仁傑(ディーレンチエ)が北辺国境に近い北州(ペイチョウ)知事となって4か月ほどたった頃のことである。
紙商店の主人イエピンと弟のイエタイが妹(パン夫人)を殺したとして骨董商のパンフォンを訴えた。
現場に出かけた知事が見たのは裸体で首なしの死体だったが,それをきっかけに,ディー判事は知事時代最大の危機を迎え,大きな喪失も味わうことになる。
3つの事件
首なし死体事件→上述の事件。
紙の猫事件→拳術の達人(馬栄(マーロン)のさらに上)ランタオクエが浴場で毒殺され,七巧板(図形パズル)によるダイイング・メッセージが残される。
殺害された商人の事件→5か月前に心臓麻痺で死んだとして埋葬された綿商人ルーミンの死因にディー判事は疑いを抱く。
以上の事件を通してディー判事は知事時代最大の強敵を迎えることになり,同時に,これまでにはなかった知事自身の「ロマンス」も語られることになる。
さらに,
幼い頃からの腹心である洪(ホン)警部も事件の渦中で刺されて死亡してしまう。
知事を辞める寸前まで追い込まれながら,何とか切り抜けたディー判事を待っていたのが,
中央裁判所判事として首都に呼び戻される知らせだったという構成も気がきいているし,巻頭の明時代の挿話も全体のテーマを暗示するものとして効果的だった。
発表の年代は離れるが,内容としては
「柳園の壷」に続いている。
シリーズを読む順番や周辺知識については
「ディー判事シリーズについて」を参考にしてください。
時代,場所,登場人物などをフリーページのディー判事メモに簡単にまとめてありますので,ごらんください。
ロバート・ファン・ヒューリックの他作品についての日記は,フリーページ 読了本(海外) (ロバート・ファン・ヒューリック)からごらんください。
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