カテゴリ:不安の特徴と役割、欲望と不安の関係
森田理論によって神経症を克服したいと考えるなら、第一に不安の取り扱いをよく学習して生活に応用できるようになることが大切である。
これを国家試験にすると、「不安取り扱い主任技術者」とも言うべき資格になるであろう。 これは何も神経症で悩んでいる人だけでなく、普通の人にも役立つ考え方である。 特に神経症に陥っている人は、必須科目となる。 ポイントは4つある。 1、 不安は取り除くことはできないし、取り除こうとしてはならないという考え方である。 欧米の心理療法ではほとんど不安を取り除くというところから出発している。 森田理論と欧米の心理学の違いはよく検討してみる必要がある。 2、 森田理論では不安は欲望があるから発生するのだといいます。 不安と欲望はコインの裏表、表裏一体と考えます。 長谷川洋三氏は、欲望を本体(形)とすると不安は影であるといわれています。 本体がゆくところ影はどこまでもついてゆきます。 私たちはその影が気になり、ほうきではいて無きものにしようとしているようなものだ。 本体がある限り、いつまでたっても影はなくすることができない。 そうした行為は不可能に挑戦していることであり、最後は疲れ果ててしまいます。 欲望が小さい時は不安も小さい。欲望が大きくなると不安もそれに比例して大きくなります。 不安が嫌だから不安をなくしたいと思われれば、欲望を無くすればよいのです。 でも人間は欲望を全くなくすることはできません。 3、 不安は意味もなく存在しているのではありません。 予期不安があるからこそ、あらかじめ危険を察知して身を隠し、生命の危険を回避することができます。 また不安は欲望が暴走しそうになるときに、それを阻止とどめる役割を持っています。 欲望が暴走すると自己中心的になり、他人を痛めつけるようになります。 また自暴自棄になり将来に禍根を残すことを平気で起こすようになります。 それを押しとどめる役割が不安にあります。 森田ではこのことを精神拮抗作用と言っています。 それでも欲望が暴走するというのは不安の活用法が希薄であるといえます。 4、 不安と欲望はどのように生活に応用してゆけばよいのか。 まず「生の欲望の発揮」を前面に押し出して生活することである。 生の欲望というと大げさなようである。 具体的な中身は日常生活を規則正しくものそのものになりきって取り組むことである。 安易に他人任せにしないで自分のことは自分でやるようにする。 次に仕事、勉強、家事、育児、介護等イヤイヤながら取り組んでいくことである。 それから先は自分の興味のあることはいろいろと手を出してゆけばよい。 その際補助的に不安を活用して欲望が暴走しないように注意する。 イメージとしてはサーカスの綱渡りの曲芸を思い出してほしい。 長い物干し竿のようなものを持っていつもバランスをとっている。 欲望が優位になれば、不安の方を持ち上げ、不安が強くなれば欲望の方を持ち上げる。 バランスをとりながら注意深く自己内省を繰り返しながら向こう岸に向かって歩みをつづける。 以上の4つの視点をしっかりと頭にたたみこんで、生活に応用していただきたいと思うのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016.01.13 08:05:34
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