カテゴリ:観念重視から事実重視への転換
田舎のお寺の住職さんのお話です。
1945年日本は戦争に負けました。 その当時アメリカにいた日本人は全員収容所に入れられました。 子供からお年寄りまですべての日系アメリカ人が対象になりました。 アメリカはドイツやイタリアとも戦っていましたが、収容されたのは日本人だけです。 日本人はアメリカ人から「ジャップ」と呼ばれて軽蔑・差別されたのです。 突然真珠湾攻撃をつかけてきた卑怯な国とみなされていました。 また黄色人種に対して根強い偏見があったようです。 身からでた錆とはいえ、なんと不合理で、理不尽な扱いを受けていたことでしょうか。 日系アメリカ人はその屈辱に耐えて、ひっそりと日本人であることを隠すようにして生きていたそうです。その艱難辛苦は想像するに余りあるものがあります。 その日系移民たちが涙を流して喜ぶ出来事がありました。 1963年全米ヒットチャートで3週連続1位に輝いた日本の歌です。 坂本九さんの歌った「上を向いて歩こう」という曲です。 しかし曲名は「スキヤキ」という名前に変更させられました。 日本の歌謡曲が全米ヒットチャート1位になったことはそれ以降ないそうです。 日系移民たちはラジオにしがみついてその曲を聞きました。 坂本九さんのビブラートのきいたやさしい歌声は、のどの渇き切った砂漠の中でおいしい水をごくごく飲むような体験です。胸が張り裂けそうになり、泣きながらその曲を聞いたそうです。 ともすれば卑屈になり、孤立しがちな当時の日系移民の人たちをやさしく包み込んでくれたのです。自分がどん底にいるときに、見捨てることなく、包容力をもって支えてくれる人がいることで生きる勇気が湧いてきます。 この歌には、日系移民たちを精神的に支えていく力があったのです。 上を向いて歩こう 涙がこぼれないように 思い出す 春の日 一人ぼっちの夜 幸せは雲の上に 幸せは空の上に 上を向いて歩こう 涙がこぼれないように 泣きながら歩く 一人ぽっちの夜 この歌の歌詞を見ると、「事実唯真」の世界を歌ったものだと思います。 事実を土台にして這い上がっていくという力強さを感じます。 日系移民の置かれたつらい状況を受け入れて、そこから目線を上げて、目的本位に生きていきましょうと励ましてくれているようです。 私は「青い山脈」の替え歌で、「森田とともに」という替歌を作って歌っています。 「上を向いて歩こう」もレパートリーに加えたいと思います。 この曲はサックスでよく演奏していますが、テンポがよく、ノリがよい曲です。 森田に通じる歌詞だと改めて認識しました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.05.09 06:20:04
コメント(0) | コメントを書く
[観念重視から事実重視への転換] カテゴリの最新記事
|
|