カテゴリ:生の欲望の発揮
フランクルという人はアウシュビッツに強制収容されました。
生命に関わる過酷な扱いを受けましたが、何とか解放されるまで生き延びました。 なぜ生き残ることができたのか。「夜と霧」という本で紹介されています。 彼自身は解放されたあとの仕事のことを思い、愛する妻や家族と再会することを願っていました。その熱い思いが彼の命を支えていたのです。 また彼は収容中に知り合った二人の男性を救っています。 その一人には、彼の最愛の子供が、彼を待っていると伝えて共に生き抜こうと励ましました。 もう一人には、科学者としての本のシリーズ化がまだ終わっていないことに奮起を促し、生き続けることの責任を自覚させたのです。 解放された後、フランクルは、人間にとって、取り組むべき課題、目標、希望、夢の存在が、人間が生きる上で欠かせないものであると考えました。 食べ物、安全、健康、共同体への所属と同じくらい必要であることを熱心に説いています。 それがないと、意欲や生きがいが生まれません。 動物と同じ感覚で生きていくことになります。 そのためには、まず正しい現状認識が必要だと思います。 事実、現実、現状に対して、「かくあるべし」という色眼鏡をかけてみるのではなく、事実にこだわる態度がかかせません。 森田では事実を正確につかむためには、人の話をそのまま鵜呑みにしてはならない。 先入観や決めつけはご法度である。 現地に行って事実を確かめる。自分で実験して事実かどうかを確かめる。 特に一方的で片寄った考え方は要注意である。 これは間違いないと思っていても、必ず反対意見も聞いてみる。 両面観を取り入れて検証する。円錐柱を真上から見ると円に見えます。 真横から見ると三角に見えます。真下から見ると円に見えます。 いろんな角度から見て初めて円錐柱であることが分かります。 裁判でも、犯人の犯罪を確定して有罪にするためには、検察官だけの一方的な話だけで判決を下すことはしません。明らかに犯行が間違いないような事案でも、必ず弁護士を立てて、双方の言い分を聞いた後に判決を出しています。 そうしないと自由と民主主義が失われた独裁国家になってしまいます。 ですから様々な角度から事実を明らかにする必要があります。 疑問に思ったことは、できる限り事実をあぶりだすことです。 そこに注力することがとても大切です。 その先に、フランクルの言う、解決すべき問題点、課題、目標が見えてくるのです。 興味や関心が生まれ、気づきや発見、アイデアや工夫、情熱や意欲の高まりが生まれてくるのです。次に、これに基づいて、実際に行動を開始することが大切です。 その際、森田理論でもっとも重視しているのは、「凡事徹底」ということになると思います。 いきなり大きな目標、希望、夢に取り組む前に、自立のために基礎固めを優先しましょうという事だと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.08.07 07:33:23
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