カテゴリ:観念重視から事実重視への転換
カーネギーの「道は開ける」という本の中に、「最悪の状態を受けいれたとき奇跡が始まる」(新潮社)という章があります。
問題解決の簡単な方法がある。 エアコンの発明者キャリア氏が考案した「魔法の方法」だ。 3つのステップで行い、魔法のような効果がある。 起きたことを否定せず、受け入れてみよう。 事実の把握は、状況を変える第一歩だ。 ステップ① 起こりうる最悪のことを考える。 ステップ② 最悪のことを受けいれる。 ステップ③ 最悪のことを改善する。 (同書 33ページ) 普通ミスや失敗の事実を認めると、非難、叱責されるので、報告しない、逃げる、ごまかす、責任転嫁する方法をとる人が後を絶ちません。 事実に向き合わないと、坂道を転がる雪だるまのように問題はどんどん大きくなります。 最後に問題が公になると、自分や会社に対する信頼感は地に落ちてしまいます。 重要案件の場合、退職や倒産に追い込まれる可能性があります。 自分の不注意で発注ミスを起こした例で考えてみましょう。 私の場合、学校の舞台幕の注文をもらい、パソコンで加工して、工場に送りました。 ところが、袖幕の色と寸法を間違えていました。 エンジの色がブルーの色合いになっていました。 寸法が30cmも短いものが届きました。 急いで再制作しても、卒業式に間に合わない可能性が出てきました。 この注文には、施主、学校関係者、得意先、取り付け業者、営業、担当部署、業務、工場など多くの人が関係しています。 ステップ① 起こりうる最悪のことを考える。 取り付け業者から誤商品の連絡があります。 その後次々と関係者から電話が入ります。非難と叱責の嵐です。 「どうしてくれるのだ。すぐに作り直して注文通りの物を持参しろ」 「この注文をもらうのにどんなに足を運んだのか分かっているのか」 「発注前に慎重にチェックはしたのか」 「お前には今後仕事を任せられない」 これらすべての批判を受けいれて、謝罪するしかない。 急いで再制作にかかるが、今年の卒業式にはもう間に合わない。 誤制作、誤発送した商品はすべて廃棄処分となる。 何十万円も純損失を出しているので、始末書を書く必要がある。 卒業式は袖幕なしで執り行ってもらうしかない。 関係者には、多大な損失、ご迷惑と心労をかけることになる。 非難や叱責は甘んじて受けるしかない。 この件で、自分に対する信頼感を大きく損ねた。 他部署への移動、退職勧奨を受けるかもしれない。 これらが考えられる最悪の事態だ。 ステップ② 最悪のことを受けいれる。 起こったことは潔く認めるしかない。 ここで、自分のミスをごまかす。他人のせいにする。 報告を怠り、逃げたりしてはいけない。 「俎板の鯉」になったつもりで、焼くなり煮るなりいかようにでもしてくれという良い意味での開き直りが必要になる。 最悪を受けいれると、次の対策が立てられる。 ステップ③ 最悪のことを改善する。 上司へすぐに報告する。関係者に謝罪の電話をする。 急いで再発注の処理をする。 工場に電話をして、急いで再制作をしてもらうように交渉する。 その交渉内容や結果を随時関係者に連絡する。 とくかく被害を最小限に抑えるために、上司や営業と連絡を取り合いながら、最善を尽くす。 最悪の事態を素直に受け入れるということは、森田でいう事実本位に近づく有力な方法になります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.05.25 18:10:19
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